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タナベコンサルティンググループの各分野のプロフェッショナル・コンサルタントが、経営戦略・事業戦略・組織戦略などの経営メソッドを解説・提言します。
コンサルティング メソッド 2025.12.26

企業の持続的成長を実現する財務・承継基盤の構築 中堅企業白書2026

中堅企業の財務状況と意思決定の流れ

タナベコンサルティングが実施したアンケート(「中堅企業白書2026」掲載)によると、現在の主な資金調達手段は「銀行融資」が55.8%と半数を占めている。一方、「親会社・関係会社からの融資」は18.7%、「社債・株式の発行」は5.2%にとどまることから、財務基盤は銀行融資が中心であり、公的支援・補助金は必要に応じて利用されていることが分かる。


公的支援・補助金の活用状況については、「必要に応じて活用している」が71.3%と大半を占め、「積極的に活用している」は10.4%、「活用したことがない」は18.3%と、制度の選択的活用が一般的である。


財務戦略で重要視しているポイント(【図表1】)について、「キャッシュフローの安定化」(52.2%)と「コスト削減による利益体質の強化」(51.8%)が、いずれも5割超で最上位に並んだ。「内部留保の確保」(38.2%)、「ROE(自己資本利益率)の向上」(33.1%)がこれに続く。安定を重視しつつも、柔軟な対応力を志向する姿勢がうかがえる。


【図表1】 財務戦略で重要視しているポイント(複数選択/最大3つ)

財務戦略で重要視しているポイント(複数選択/最大3つ)

業種別に見ると、製造業は「ROE向上」(64.5%)が多く資本効率志向である一方、卸売業・小売業(63.9%)と建設業(62.1%)は「コスト削減」を重視している。主要都市とその他都市で比較すると、その他都市は「投資余力の確保」(19.4%)が相対的に高い。「ROEの向上」については、主要都市(36.2%)がその他都市(29.8%)をやや上回る結果となった。


投資の意思決定が行われる主なレイヤー(【図表2】)を見ると、「経営層が主導して判断・決定」が54.6%と最多であり、次いで「幹部層の提案に基づき経営層が決定」が34.7%だった。「経営トップが単独で判断・決定」は6.4%にとどまる。


【図表2】投資の意思決定が行われる主なレイヤー

投資の意思決定が行われる主なレイヤー

業種別に見ると、情報通信業は「経営主導」(72.2%)が最も高く、製造業は「幹部層の提案に基づき経営層が決定」(51.6%)が相対的に高い。建設業は「経営トップが単独で判断・決定」(10.3%)に「経営層が主導して判断・決定」(55.2%)を加え、上位層の関与が多い。卸売業・小売業は他業種と比較して、意思決定の層が広いことが分かる。


主要都市とその他都市で見ると、主要都市は「経営層が主導して判断・決定」(62.2%)、その他都市は「幹部層の提案に基づき経営層が決定」(41.1%)が相対的に高い。


事業承継の現状について、代表者の年齢層は、「60代」が48.6%で最多となり、「50代」が27.9%、「70代以上」が13.1%で続く。60歳未満の経営者も約4割を占めており、次世代への移行が進みつつある。


事業承継の準備状況を見ると、「承継の予定は未定」が53.4%、「検討段階」は23.5%、「後継者を決定し計画進行中」は16.3%である。計画的な進行は一部に限られる。


業種別に見ると、建設業は「未定」(65.5%)が最も高い。主要都市とその他都市で見ると、主要都市は「未定」(56.7%)、その他都市は「検討段階」(26.6%)「候補選定」(9.7%)が相対的に高い。半数超が未定であり、計画的な承継は進んでいない。


将来的な事業の承継・存続方法(【図表3】)について、「社内の後継者への承継」が40.6%で最も高い。「グループ会社への承継」は7.6%、「将来的に社内で後継者を育成」は6.0%、「未定・検討中」は24.7%であることから、第三者承継の選考は限定的であることが分かる。


【図表3】 将来的な事業の承継・存続方法

将来的な事業の承継・存続方法

「後継者の育成・能力開発の状況」を見ると、「計画的に育成中」が42.2%で最多である一方、「育成は未着手」が36.7%、「業務引継ぎを開始」は6.4%であることから、候補者探しと育成の両輪が重要となる。


業種別に見ると、計画的な育成は、卸売業・小売業が51.4%、製造業が48.4%で相対的に高い。製造業では「業務引継ぎを開始」(16.1%)と移行が進む一方で、情報通信業は「未着手」(36.1%)が相対的に高く、業種ごとの差が表れている。主要都市とその他都市で見ると、主要都市は「未着手」(41.7%)が高く、その他都市は「計画的に育成中」(46.0%)が上回る。


中小企業庁「2025年版中小企業白書」では、財務・承継の領域において「付加価値投資への転換」「価格転嫁の実効性」「賃上げ原資の確保」、さらに、「経営者の高齢化」と「計画的な後継者育成の重要性」が課題として示されている。


本調査でも、「キャッシュフロー安定」「コスト削減」といった守りの志向が強く、承継準備も「未定」が過半を占めており、中小企業白書の指摘と重なる。後継者育成については「計画的に育成中」が4割を超え、仕組み化の進展が確認できる点が特徴的だ。中小企業白書が強調する価格戦略や第三者承継については十分に浸透しておらず、財務の攻めの姿勢や承継手法の多様化が重要テーマとなる。


出所:図表全て、タナベコンサルティング「中堅企業白書 2026」


詳細はタナベコンサルティング「中堅企業ラボ」をご覧ください。