営業・IT・DX人材と新卒・中途社員の採用強化
タナベコンサルティングが実施したアンケート(「中堅企業白書2026」掲載)によると、中堅企業の人材戦略においては、営業とIT・DXの採用強化、新卒・中途社員の確保が主流となっており、エンゲージメント向上策も幅広く実施されていることが分かった。だが、多様性の推進はまだ限定的であり、即戦力と組織基盤強化を優先する姿勢が目立つ。
【図表1】を見ると、今後、採用を強化したい職種について、「営業・マーケティング職」が61.0%で最も多く、次に「エンジニア・IT関連職(DX・データ活用含む)」が53.0%と、営業・IT関連職に集中していることが分かる。
【図表1】 今後、採用を強化したい職種(複数選択/最大3つ)
採用・雇用における工夫としては、「中途採用の強化」(74.9%)と「新卒採用の強化」(65.7%)が主要な施策となっている。これに、「定年延長・再雇用の実施」(35.5%)や「リファラル採用(社員紹介)の活用」(33.9%)が一定の割合で続く。一方、「副業人材・業務委託人材の活用」(4.4%)や「地方・リモート人材の採用」(2.4%)は限定的であり、現状は従来型の採用を基軸としつつ、多様なチャネルを補完的に組み合わせている。
計画的な研修と複合施策で人材育成を進める
教育・研修の実施状況を見ると、「全社的に計画的な研修を実施している」が52.6%で最多、「各部門ごとに計画・運用している」が18.3%と、計画性のある研修が主流となっている。
定着・エンゲージメント向上のために実施している施策(【図表2】)については、「社内コミュニケーションの強化」が61.0%で最も高く、次いで「上司・部下間の対話促進(1on1・フィードバック面談など)」(49.8%)、「報酬・処遇の改善」(48.6%)と続く。「企業理念・ビジョンの浸透(パーパス共有)」も35.1%となっており、複数の施策を組み合わせるアプローチが主流である。
【図表2】 定着・エンゲージメント向上のために実施している施策(複数選択/最大3つ)
組織運営で重視しているテーマについては、「マネジメント層の育成」が18.7%で最多となり、「組織の自律性・現場主導の強化」(15.5%)、「評価・報酬制度の納得性の向上」(15.1%)と続く。だが、各テーマに大きな差がないことから、重視する課題は業種・規模・組織フェーズなど、各社の状況に応じて分かれているものと見られる。
組織内でコミュニケーション上のギャップを感じる関係を見ると(【図表3】)、「幹部・マネジメント層⇔現場(一般社員・スタッフ)」が53.8%で最多となり、「本社⇔現場(営業・製造など)」が42.2%で続く。また、「ベテラン社員⇔若手社員」は34.7%、「管理部門⇔事業部門」は31.1%であり、階層・職種・世代という3つの層でコミュニケーションギャップが生じやすい構造となっている。
【図表3】 組織内でコミュニケーション上のギャップを感じる関係(複数選択)
中小企業庁「2025年版中小企業白書」では、人材面において「深刻な人手不足」や「賃上げ余力の制約」が大きな論点として示されている。
これに対して本調査では、営業・ITを中心とした人材確保や、中途・新卒の両輪による採用強化が前面に出ている。また、教育研修や1on1、処遇改善を組み合わせたエンゲージメント施策、マネジメント層育成を含む組織運営など、人材を基盤とした攻めの取り組みが目立つ。
多様性の推進や地方・リモート人材の活用は限定的であり、今後については、組織の柔軟性を高める取り組みが重要となる。
出所:図表全て、タナベコンサルティング「中堅企業白書 2026」
