中小企業庁「2019年版 中小企業白書」によると、中小企業の業況はリーマン・ショック以降、収益・投資・資金ともに緩やかな回復基調にある。経済の好循環が中小企業にも浸透しつつあると言えよう。
このような環境下において、中小企業が現在のステージから一段階ステージアップし、売上高10億円の壁を越えて持続的に成長していくためには、本稿で紹介する五つの経営テーマを自社へ落とし込むことが重要である。それぞれについて、順にポイントを解説していく。
ミッションとは、これからの時代を踏まえた自社の「使命」のことである。少々オーバーな表現かもしれないが、「自社は何に命を使っていくのか」を表現したものだ。
ミッションは、右に示す「社会性」「顧客価値」「追求心」の三つの切り口から明文化することが大切である。
例えば、製造業A社は、自社のミッションを「意匠の鮮明性を向上させるアーティスト集団」と定義している。こう定義したことが、洗練された製品を作り上げるという結果を生み出し、主体的に行動する社員を育む善循環づくりにも寄与している。
ブランディングは、何も大企業だけの経営テーマではない。中小企業においても十分に深める価値のあるテーマである。商品や技術、サービス以外のもの―― 例えば、人材や企業風土・文化、環境さえも、ブランドとして訴求できる。生かせるものはいくらでもある。
中小企業がブランディングをする際、特に大切にすべきポイントは左に示した五つである。また、マインドとしては、特に「たった1人のあなたに届ける」という行為にどれだけこだわれるかが、とても重要だ。その行為の徹底が、結果として多くの顧客を生み出す。
ブランドは、顧客のイメージにたがわぬものを提供し続けることによって生まれる。その意味で、ブランドとは顧客との長期的な「約束」である。この「約束」を守り、発信し続けることが、自社のブランド価値をさらに高めていく。
大企業と中小企業のソフトウエア投資比率の差は、残念ながら開く一方である。だが、小回りの利く中小企業がウェブを活用するのは、実は非常に効果的だ。カスタマー・マーケティング(顧客向けマーケティング)とリクルート・マーケティング(採用マーケティング)のうち、今回はカスタマー・マーケティングについて、特に重要なポイントを六つ紹介する。
これらを現場に落とし込むプロセスの中で、顧客(潜在・顕在)に対して伝えたい思いを徹底して掘り下げ、マーケティング活動を行うことが大切である。