良い商品を作ったのに、“なぜ”売れないのか?
今、人々の生活や社会、多くの市場にはさまざまな商品(製品・サービス)があふれている。その上、企業を取り巻く環境の変化は目まぐるしい。
価値のある商品をせっかく作っても、それを本来、手にするべき消費者へ届かない。「良い商品なのに、なぜ売れないのか?」。そんな道理に合わない販売不振が当たり前のように起きている。
従来は有効だったマーケティングやプロモーション、クリエーティブも、時流とともに形を変えて常に進化していく必要がある。そうでなければ、あなたの商品は市場から取り残され、企業自体も生き残ることが困難になる。
特に、現在はICT(情報通信技術)を活用した販売促進の手法である「デジタルプロモーション」が、日進月歩を上回る“秒進分歩”で急激な進化を遂げている。スマートフォンの普及やAI(人工知能)の発展で新たな技術やツールが開発され、顧客の購買行動に大きな影響を及ぼすまでになっている。
「無機質で温かみに欠ける」「若者にしか効果がない」「費用がかかる割に効果が見えない」。以前はそういわれてきたデジタルプロモーションだが、時代は変わった。資本規模や従業員数にかかわらず、顧客の心に響く、最先端のデジタルプロモーションにフォーカスすべき時代がやって来たのだ。
マス(1対n)からワン・ツー・ワン(1対1)へ
ターゲットを限定せず、全ての層を対象とする「マス・プロモーション」は、かつて日本における主流の販促手法だった。市場が成長期の場合、需要が供給を上回り、消費者は商品をじっくりと選り好みするよりも、いち早く入手しようとする購買行動をとる。商品の使用経験もそれほどないため、こだわりはさほど持っていない。
そのような状況においては、消費者に対するプロモーション手法として「マスコミ四媒体」(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)など、広範囲かつ画一的に情報を流せるマス・プロモーションが有効だった。商品の存在を消費者(市場)にまず認知してもらうことが重要であった。
ただ、市場が成熟段階を迎えると、消費者は大抵の商品を体験しており、次第に自分なりのこだわりを持ち始める。需要が頭打ちを迎える一方で、市場の成長性を見込んだ新規参入企業が増えていく。既存企業も、ライバルが増えたからといって、すぐに撤退をするわけではない。その結果、市場は需要よりも供給が多くなる。
よって、企業は細分化していく消費者ニーズに応えなければ、自社商品を選んでもらえない。従って、消費者をセグメントし、個々のセグメントに対し、それぞれのニーズに合わせて異なるプロモーションを行う必要がある。
すでに商品が消費者の元に行き渡った状態になると、認知だけでは具体的な購買行動へつながらない。興味や関心、こだわりの醸成をプロモーションしていくことが重要になるのである。