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コンサルティングケース
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コンサルティングケース 2023.05.29

丸八工機:Webマーケティングにより自社ブランドの販路確立に成功

ポイント


1 経営の安定化を目的に自社ブランドを立ち上げ、Webマーケティングを導入
2 明確なコンセプトを打ち出し、製品開発やマーケティングを展開
3 SNSとデータを活用し確実に成果を上げる

 

 

 

お話を伺った人


丸八工機 代表取締役社長 河村 彰人 氏(左)
丸八工機 セントラルグループ サブリーダー
兼松 美保 氏(右)

 

 

 

 

 

 

自社製品の魅力を消費者に届けるためWebマーケティングを導入

――Webマーケティングに力を入れるようになった背景をお教えいただけますか

 

河村:当社の事業は、電動アシスト自転車や街乗り自転車、子ども用自転車のスタンド、キャリア、バスケット、サドルなどのサイクルパーツ製造です。お客さまは国産自転車メーカーで、同社の製品に使用するパーツをOEMとして生産しています。また、卸事業としてホームセンターなどにパーツを供給する事業も展開しています。しかし、OEMや卸事業だけでは世界情勢や景気の影響を受けやすく、事業が安定しないという悩みがありました。そこで、従来のBtoBビジネスだけでなく、もう1つの柱として自社製品「iWA」を開発し、直接、消費者に販売するBtoCビジネスをスタートさせました。

 

――そうして誕生したのが「iWA」という自社ブランドのロードバイク用スタンドだったのですね

 

河村:はい、そうです。ロードバイクは廉価なものでも10万円程度、ハイクラスになると200万円もする高価な製品です。そのため、ロードバイクを室内にインテリアとして飾ったり、メンテナンスのために使用したり、スタンドもデザイン性や頑丈な構造である必要があります。ただ、そんな特性がありながらも中国製などの廉価な製品が多いため、iWAではメード・イン・ジャパンを前面に打ち出し、高品質なスタンドとして開発しました。

 

しかし、2015年にブランドを立ち上げたものの、今一つブランドの認知度が向上しないという課題がありました。そんな中、中長期ビジョンや人事関連のコンサルティングを実施していただいていたタナベコンサルティングから提案を受けて、2020年3月、本格的にWebマーケティングを推進しました。

 

 

 

iWAブランドの人気商品である縦・横両置きバイクスタンド「A01V Special」。場所を選ばずに設置できる上、固定力にも優れており、自転車のメンテナンス時にも活用できる

 

 

――具体的には、どのようにWebマーケティングを展開していったのでしょうか

 

河村:iWAを知ってもらうことからスタートしなければならないので、まず、タナベコンサルティングに依頼をしてLP(ランディングページ)※1を制作しました。同時にタナベコンサルティングからWebマーケティングのリテラシー向上のための講義を開催してもらい、グーグルアナリティクス※2を活用した現状認識を行いました。

 

そこではWebマーケティングの基礎知識から成否の判断基準、費用対効果の測り方などを学ぶと同時に、Web解析結果に基づいてターゲットを設定しました。アナリティクスの流入傾向を読み解くと35歳から44歳の流入が60%以上を占めており、趣味にある程度お金が使える40歳前後の男性というペルソナを設定し、そうしたターゲットに響くLP制作を心掛けました。

 

ブランドサイトを開設し、自社製品の魅力を発信する

――その後、自社サイト内にiWAのECサイトを開設されました

 

河村:はい。LPの制作後に、独自の販売チャネルになるECサイトの構築に取り掛かり、タナベコンサルティングの協力を仰いで2020年8月に開設しました。こちらのサイトもLPと同様に、製品イメージに沿うような品のあるデザインを依頼しました。私が想像していた通りの出来栄えで非常に満足しています。

 

――使用シーンなどの画像を多用するとともに機能面の特性も分かりやすく説明されていますね

 

河村:iWAブランドのバイクスタンドには、縦・横両置き、横置きに加えて車へバイクを積み込む時に使用する車載キャリアや、家具メーカーの「カリモク家具」と共同開発した高級天然素材の製品などがあります。こうしたラインアップの機能美が余すことなく表現されていると思います。また、バイクスタンドは高価なバイクの転倒防止という最も重要な役割を担うツールですが、その機能性についても簡潔に伝えられているサイトに仕上がりました。

 

――このECサイトへの集客方法については、どのような施策を打ったのでしょうか

 

河村:ECサイトのオープン後にはインスタグラム、YouTube、FacebookなどのSNSを活用しました。こうしたSNSの活用やECサイトの運用に関しては新たに兼松をWebマーケティング担当者として抜擢し、各施策を彼女とタナベコンサルティングが協働しながら進めていきました。

 

 

SNSを活用し、届けたい人に届けたい情報を伝える

――兼松さんは、元々Webマーケティングの知識があったのでしょうか

 

兼松:いえ、ゼロからのスタートでした。タナベコンサルティングにWebマーケティングやSNSについての基本的な考え方や操作方法などを教えていただきながら、自分自身でも独学で学びました。

 

また、ECサイトの運営や集客についても、タナベコンサルティングの担当者と月例ミーティングを行いながら、その時々の課題の抽出と共有、そして解決方法を話し合いました。SNSは元々インスタグラム、YouTube、Facebookなどのアカウントがあったのですが、うまくマーケティングに生かせていない状態でしたので、これらを使って積極的に情報発信していく方針を立てました。

 

――ECサイトへの集客ですが、具体的にどのような方法を採用したのでしょうか

 

兼松:まずは販促カレンダーを作成し、それに沿ってペルソナに響く情報をSNSにて発信していきました。販促カレンダーは、過去の販売実績を参考にしながら売上アップが見込める期間をピックアップし、そこに合わせてSNSで情報を発信しました。特に夏と冬のボーナス時期、ツーリングに最適な季節のゴールデンウィーク、シルバーウィークは売り上げがグンと跳ね上がります。その時期に合わせて、当社お勧めの製品をアピールしています。

 

――インフルエンサーも起用されているようですね。SNSの発信で工夫されている点はありますか

 

兼松:はい、過去に自社製品を購入され実際に使用していただいている方や多くのフォロワーを持つインフルエンサーに協力を仰いで、製品のアピールポイントを伝えていきました。また、クラウドファンディングのMakuake(マクアケ)を利用して応援購入を実施するなどの取り組みも行いました。

 

SNSで情報発信する際は、お客さまであるバイカーの方々と同じ目線になることを心掛けています。バイカーの方々と心の距離を縮めたいという気持ちがありますので、言葉の選び方や文章についても事務的な表現ではなく、柔らかな表現を使うようにしています。

 

 

打ち合わせの様子。市場の潮流を読みながら、仮説を立て、実践し、検証を繰り返す

 

 

データから見えてくる顧客ニーズを社内で共有する

――販促カレンダーに沿ってSNSを活用しながらさまざまな情報発信をしたわけですが、その成果について教えてください。

 

兼松:まず売上という観点からは、Webマーケティングを開始した2020年3月時点と、2022年の月間の販売台数を比較すると約1.8倍増加しました。さらに購入していただいたお客さまへのアンケートを実施したのですが、それにより自社の強みと弱みがより明確に把握できました。アンケート結果は商品開発チームや海外バイヤーチームなどマーケティング部門以外の社員と共有することで、販売方法や新たな商品開発のヒントとして役立てています。

 

Webマーケティングによって、お客さまのニーズや自社のストロングポイントなどの「見える化」ができました。それに伴って、社員がデータを活用する企業文化が生まれるとともに、次の施策が打てるようになったことが大きな成果です。

 

――今後の展望についてお聞かせください。

 

河村:当社は、2021年に70周年を迎えました。iWAブランドの立ち上げは100年企業を目指して始めた取り組みの1つであり、そのターゲット市場は国内だけでなく海外を想定しています。iWAをグローバルブランドに成長させたいと考えており、すでに海外市場をターゲットにした販売施策も計画しています。コロナが収束に向かい展示会も開催されるようになってきましたので、手始めに台湾の展示場に出展しました。

 

加えて、時代にマッチした企業文化を醸成するために、SDGsやウェルビーイング経営、女性の活躍推進などにも注力していきます。

 

※1 特定の商品やサービスの紹介や販売などを目的としたWebページ
※2 Webサイトのアクセス状況を解析するツール

 

PROFILE

    • 会社名:丸八工機株式会社
    • URL:https://maruhachi.nagoya/
    • 所在地:愛知県岩倉市八剱町478
    • 創業:1951年
    • 従業員数:15名(2023年5月現在)

※ 掲載している内容は2023年5月当時のものです。