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コンサルティングケース
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TCGのクライアントが持続的成長に向け実践している取り組みをご紹介します。
コンサルティングケース 2022.04.05

アイ・ケイ・ケイホールディングス:ホールディング経営で次代の「経営者」と「事業」をつくる

 

ポイント


1 ホールディング経営で経営者・幹部人材を育成
2 プロジェクトチームをつくり、ホールディングス化を推進
3 「15人の社長、15の会社」を掲げ、新規事業・M&Aが加速

 

 

お話を伺った人


アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社 取締役 菊地 正樹氏
(アイ・ケイ・ケイキャピタル株式会社 ララ・クゥール株式会社 代表取締役社長兼務)

 

 

 

 

 

 

「未来創造プロジェクト」で“経営者としての学び”を得る

 

——会社概要、ご創業の経緯についてお聞かせください。

 

菊地:地元・佐賀の観光ホテル経営から始まり、ゲストハウスウェディングという新たな婚礼スタイルの市場を創り出したパイオニアとして成長を続けてきました。2013年には東京証券取引所第一部上場を果たし、ブライダル業界のナンバーワン企業として現在、国内19店舗、海外4店舗を運営しています。

 

現在は「ビジョン2032」「ビジョン2042」を掲げ、「一人ひとりが愛と情熱を持って、つながり 挑戦し、お客さまがあこがれる、グローバルカンパニーになる」ことを目指しています。

 

——新たなビジョン実現に向け、2018年に次代を担う経営者人材育成プログラム「未来創造プロジェクト(PJ)」を実施しました。

 

菊地:「ビジョンをバックキャスティングで具現化しましょう」という、タナベ経営の提案を受けて始めたのが、未来創造PJです。将来の経営幹部人材に必要不可欠なビジネススキルを磨き、自社の現状を正しく認識して将来を見据えた経営テーマを探る狙いもありました。

 

メンバーは社内公募し、部門横断的に16人の幹部候補を選抜しました。彼らは各部門の現場でトップクラスの成績を収めているものの、マネジメント経験がない状況でした。そこで、事業戦略や組織戦略などの基本から学び、ビジョン実現に向けた中期経営計画を策定しました。

 

——未来創造PJの成果はいかがだったでしょうか。

 

菊地:中計策定などのプロセスを通じ、経営者としての学びを得ながら、視座を高める良い機会になりました。

 

金子会長からは「現状を否定してもいいから、新しいことや本当にやりたいことをして、会社の未来を自由に考えてほしい」と言われてきました。これまで金子会長のリーダーシップのもとで躍進してきた部分が大きいものですから、何としても経営者人材を育てておきたい、という強い思いの表れだったと思います。

 

 

地元・佐賀の観光ホテル経営から始まり、ゲストハウスウェディング市場のパイオニアとして成長を遂げてきたアイ・ケイ・ケイホールディングス。
ブライダル業界のナンバーワン企業として現在、国内19店舗、海外4店舗を運営する

 

 

「15人の社長と15の会社をつくる」
ホールディングプロジェクト

 

——2020年4月には「ホールディング(HD)プロジェクト」がキックオフしました。

 

菊地:未来創造PJもHD化も、「次世代の社長をつくる」という目的は同じです。「10年以内に15人の社長と15の会社をつくる」ため、次代の社長人材が育つHD体制を一緒に実現しましょう、とタナベ経営が提案・サポートしてくれました。

 

また、HD体制を設計する中で、金子会長の思いや考えを具現化し、承継していきたいという狙いもありました。

 

——ホールディングPJのメンバーや取り組み内容を教えてください。

 

菊地:ホールディングPJメンバーは経営企画や営業、総務、財務、人事戦略イノベーション室など、現場実務機能の責任者で構成。主担当である私がPJリーダーになり、金子会長もオブザーバーとして参画しました。

 

基本的に、社内にはHD経営に対する知見がありません。「HDとは何か」とゼロベースからレクチャーを受けつつ、金子会長の考えや思いを確認・共有しながら、HD体制(組織・財務構造デザイン)へ反映していきました。メンバーの意見を吸い上げつつ、会長の思いも共有し、合意形成をする場になりましたね。こうして4カ月間でHD体制の基本設計を行い(フェーズⅠ)、次の9カ月間で詳細設計を進めました(フェーズII)。 ※ホールディング経営コンサルティングはこちら

 

——タナベ経営に依頼して良かったところ、ご感想があればお聞かせください。

 

菊地:HD体制構築の経験は自社になく、推進にあたり不安や分からないことも多々生じていたのですが、タナベ経営のサポートがあったからこそ実施できたと思います。時には1日に何度も電話をしたこともありましたが、的確なアドバイスで対応いただきました。パートナーとして当社に寄り添っていただいたおかげで、4カ月というスピードで基本設計まで進められました。

 

またフェーズIIの詳細設計段階では、東証一部上場企業としての法務・IR対応など、HD体制への実務的なサポートをいただきました。上場企業ならではの詳細なレギュレーションがあり、内容もデリケートでしたが、正確かつ精緻に進めることができました。

 

——2021年11月、アイ・ケイ・ケイホールディングスを設立し、HD体制が実現しました。

 

菊地:コロナ禍という逆風の中でも確実にHDを立ち上げることができてほっとしています。HD体制構築のプロセスを経て会長の思いが言語化されたことも良かったと思います。

 

次代の経営を担うPJメンバーの思いを引き出せたのも良かった点ですね。また、メンバー同士の相互理解が深まったことも収穫です。

 

当社には「可能思考」が定着しています。できない理由ではなく、どうすればできるかを考え、道を探し出す。もともと、挑戦心のあふれる風土がありますが、それをHD化のプロセスでも体現できたと思います。

 

 

“抜てき人事”で、若手社員も活躍できる仕組みを整備

 

——HD化のメリットや、制度設計時にこだわったポイントを教えてください。

 

菊地:HD会社がグループ全体最適で事業会社を支えることで、事業会社はマーケットと向き合い、積極的な戦略を展開することができます。当社の場合、HD会社を極力小さな組織にして事業会社の自由度を高めつつ、管理できる体制を重視しました。

 

また、社員が活躍しやすいポストが生まれ、優れた社員を引きあげる“抜てき人事”が可能な仕組みになったことはポイントです。「課題発見力」と「課題解決力」を伸ばすには、有望な中堅・若手社員を引きあげ、活躍の舞台となるポストを与えることが必要ですし、そうやって権限移譲が進めば、次代へのバトンの受け継ぎが可能になります。

 

 

「可能思考」「挑戦心」が定着するアイ・ケイ・ケイホールディングス。
ホールディング化で新たなポストが生まれたことで、若手・中堅社員の活躍の場が広がっている

 

 

新事業のグループ企業と若き経営者が次々と誕生

 

——HD化とともにグループ新会社が相次いで誕生しました。

 

菊地:2021年11月にはフォト事業のアンビオーネ、私が社長を務める結婚仲介事業のララ・クゥールを設立し、12月には婚活業界老舗・タメニー株式会社との資本業務提携も締結しました。現在は7社のグループ企業体制ですが、10年以内に新事業の展開で15社に増やしていきます。

 

抜てき人事により、30代の社長も誕生しています。HD化で活躍の場が広がったので、今後はもっともっと若手経営者が生まれていくでしょう。ブライダルビジネスと相乗効果のある新事業にはビジネスチャンスが多いので楽しみですね。今後はトップダウンだけではなく、社員から新事業の提案が生まれるようにかっていくことを期待しています。

 

 

ホールディング化とともに、グループ新会社が誕生(左がフォト事業のアンビオーネ、右が結婚仲介事業のララ・クゥール)。
10年以内に15人の社長をつくり、新事業を含む15社展開を目指す

 

 

——今後の展望についてお聞かせください。

 

菊地:「幸せと感動を創る」という理念に合致するなら、今から未来へ、日本から世界中へと、新たな事業フィールドへの挑戦は自由ですし、受け入れられる会社です。金子会長も「幸せ」「感動」「ありがとう」をキーワードに、「つながり、挑戦し、お客さまを創造する」ビジネスはやるし、それ以外はしないと言い続けています。

 

それは、感動創造カンパニーとして「日本を代表する」から、さらに「世界一ありがとうが集まる」存在になるために、婚礼以外の新事業も手がけていく期待を込めた言葉でもあります。まずは「15人の社長、15の会社」づくりが最重要課題ですが、新事業はコロナ禍リスクをヘッジし、ポストコロナ時代の成長力にもなっていきます。

 

——次代のさらに先を担う人材の採用活動にも、いい影響が生まれています。

 

菊地:おかげさまで、マイナビ・日本経済新聞「大学生就職企業人気ランキング」調査で、冠婚葬祭ドメインの九州・沖縄に本社がある企業で4年連続第1位に選ばれています。知名度をさらに高めることで、幸せと感動づくりも加速していくことができます。

 

——タナベ経営はこれからも、幸せと感動を創るサポートを続けてまいります。本日はありがとうございました。

 

 

PROFILE

    • 会社名:アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社
    • URL:https://www.ikk-grp.jp/
    • 所在地:福岡本部:福岡県糟屋郡志免町片峰3-6-5
      本店:佐賀県伊万里市新天町722-5
    • 設立:2021年(アイ・ケイ・ケイ株式会社設立は1995年)
    • 従業員数:939名(連結)(2021年10月31日現在)

※ 掲載している内容は2022年3月当時のものです。