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TCGのクライアントが持続的成長に向け実践している取り組みをご紹介します。
コンサルティングケース 2022.04.04

土屋ホーム:ブランディングとデジタルマーケティングの同時展開で企業競争力が向上

    ポイント
1 ブランディングとデジタルマーケティングの同時展開で住宅販売数が増加
2 全受注の半数以上がデジタルからの集客へシフト
3 お客さまの事前情報が増え、スムーズな商談や即決が増加
    お話を伺った人
株式会社土屋ホーム 代表取締役社長 山川 浩司氏    
     

2ブランド制を導入し、既存イメージ脱却と営業のデジタルシフトを実現している

    デジタルへのビジネスモデルシフトが受注増に直結  

― 2つの住宅ブランドを立ち上げ、住宅販売数を大きく伸ばす土屋ホーム様。好調の裏側には、北海道らしさ、土屋ホームらしさを明確にするブランディングと、ブランドと一体化した緻密なデジタルマーケティング戦略があります。ブランディングについては、2019年に『CARDINAL HOUSE(カーディナルハウス)』と『LIZNAS(リズナス)』の2ブランド制をスタートされています。

 

山川:2021年の受注数は『CARDINAL HOUSE』『LIZNAS』を合わせて659棟と、ブランド投入前と比べて約1.7倍になり、全社の収益改善に大きく貢献しています。

 

2つのブランドはターゲットが異なります。まず、『CARDINAL HOUSE』は「テイラーメイド・アトリエ」をキャッチフレーズに展開する注文住宅のブランドで、世界で1つしかないこだわりの家づくりをご提案します。

 

一方、『LIZNAS』は「価値ある家を、お手頃に」提供する企画住宅ブランド。土屋ホーム品質はそのままに、精緻な計算に基づいたコストカットを実現しリーズナブルな価格と暮らしやすさとを両立する150種のプランを開発しています。住宅購入のボリュームゾーンである20代、30代を中心に受注を伸ばしています。

  ※特殊建築物含む  

― 50年以上の歴史を持つ土屋ホーム様は、北海道内において高性能の注文住宅というイメージが定着していました。この時期に2ブランド体制を導入されたのはなぜでしょうか。

 

山川:「少しお高い注文住宅メーカー」というイメージからの脱却と、営業のデジタルシフトが目的です。当社は、北海道の厳しい自然の中でも快適に過ごせる高性能で環境に優しい注文住宅を多数手掛けてきましたが、半面で「土屋ホームは高い」というイメージが定着しつつありました。

 

今回のブランディングでは、北海道ブランドを全面に打ち出した上で、高級路線の『CARDINAL HOUSE』、お手頃な『LIZNAS』として商品を明確化。さらに、ホームページやSNSなどに重点を置いたデジタルマーケティングを前提に、デジタルで刺さるビジュアルやキーワードにこだわってブランドの世界観を作り上げていきました。

   

「価値ある家を、お手頃に」提供する企画住宅ブランド『LIZNAS』。デジタルで刺さるビジュアルやキーワードにこだわりながら、ブランドの世界観を作り上げたという

      アメリカのエピソードに衝撃を受け、営業のデジタルシフトを決意  

― 営業のデジタルシフトを推進されたきっかけは何だったのでしょうか。

 

山川:ブランディングの前提として、営業のデジタルシフトが念頭にありました。 きっかけは、タナベ経営とのディスカッションでした。その時、「アメリカの大手自動車会社はデジタルで顧客情報を集めてホームページで差別化を図っており、顧客はスマートフォンで買いたい車を決める時代になっている。日本の住宅業界もいずれそうなる」と聞いて衝撃を受けました。

 

それまで見えていなかった景色がはっきりと見えたことで、すぐに営業のデジタルシフトを決意。デジタルに欠かせない要素が「見せ方(ブランド)」と「情報量」でした。

 

― 大きな戦略転換ですが、社内の反応はどのようなものでしたか。

 

山川:ほとんどの社員が反対しましたが、成功体験を重ねることで社員が前向きに取り組んでくれるようになりました。

 

持続成長にはビジネスモデルの転換が不可欠と考えて決断したものの、それまで当社はデジタルマーケティングとは無縁だったので、まずは札幌の7拠点のみで取り組みをスタートしました。デジタルシフトに確かな手応えを感じたのは、2020年のゴールデンウィークです。コロナ禍で展示場の来場者数が軒並み大幅に減少したにもかかわらず、札幌エリアの受注が20%増を記録。そうした成功体験をつくりながら、他拠点へ水平展開していきました。

    全受注の半数以上がデジタルからの集客へシフト  

― 導入から3年が過ぎました。2ブランド制とデジタルマーケティングの成果はどのような形で現われていますか。

 

山川:現在、年間リード数は約1万4000件に上っており、そこから受注につながるケースも大幅に増加しています。

 

数字を分析すると、以前は年間のデジタルリード数が100~150件ほどでしたが、この3年間で100倍以上と大きく伸長。また、全受注に占めるデジタルからの集客も、以前は8.9%だったのに対して2021年は64%まで拡大しています。すでに全受注の半数以上はデジタルからの集客が占めるなど、ビジネスモデルが大きく変わりました。今後は、リードの数より濃さに重点を置いた施策に挑戦していこうと考えています。

   

年間デジタルリード数が100倍以上、デジタルからの集客率も64%と大幅に伸長

   

― ブランドによって違いはありますか。

 

山川:2ブランドの立ち上げが経営改善につながっていますが、企画住宅『LIZNAS』の成長が業績に大きく貢献しています。

 

2ブランド体制にシフトする以前は注文住宅と企画住宅の構成比は9対1でしたが、2021年は6対4になりました。注文住宅の受注数はほとんど変化していないため、企画住宅の受注数がそっくり受注増になっているかたちです。デジタル営業が浸透した拠点では企画住宅の受注数が伸びているので、全エリアでデジタル営業を展開できれば企画住宅の割合をさらに上げられると考えています。

 

当面の目標は企画住宅の受注を5対5まで伸ばすこと。そうなると年間900棟も視野に入ってきます。企画住宅は設計コストが抑えられるため、経営改善にも大きく寄与しています。

        お客さまの事前情報が増え、スムーズな商談や即決が増加  

― ブランド構築とデジタルマーケティングを両輪で回した成果が顕著に表われています。リアルの現場でお客さまの反応や声に変化はありますか。

 

山川:お客さまとの商談がスムーズに進むようになりました。以前と比べ、モデルハウスに来店されたお客さまが、土屋ホームやブランドのことをかなり研究されているように感じています。

 

中には、少し背中を押すと「土屋ホームにします」と即決されるケースもあり、下調べされているお客さまほど最初のアポイントから意思決定までの時間が短い傾向にあります。ブランディングやデジタルマーケティングに力を入れたことで、お客さまの情報量が圧倒的に増えており営業効率が上がったように思います。

    ブランディングとデジタルマーケティングへ ワンセットで取り組む  

― 住宅ブランドを構築したことで競争力が高まっています。成功の秘訣を教えてください。

 

山川:ブランディングとデジタルマーケティングをワンセットで取り組むことです。 デジタルマーケティングのサポートをタナベ経営にお願いしていますが、同時に推進しているブランド開発におけるブランド会議にも参加してもらっています。ブランディングの過程から入ることでブランドへの理解が深まり最適なプロモーションが展開できますし、最初から情報を共有したことでスムーズに進められたと思います。

 

また、タナベ経営をはじめ各分野の専門家を集めたデジタル戦略ミーティングを月2回実施しています。これが、スピーディーな課題解決や成果につながっています。

 

― 選ばれる住宅ブランドに必要なことは何でしょうか。

 

山川:当社は「北海道ブランド」を全面に打ち出しましたが、会社の個性や価値をいかに発信するかは大事だと思います。

 

当社の住宅性能や快適さは北海道でもトップクラスと自負しています。加えて、「省エネ」という言葉が広がる以前からCO2の削減をはじめ、環境と共生する住宅づくりに取り組んできました。そうした性能や価値を端的に表すのが「北海道ブランド」であり、尖らせていきたい部分です。例えば、カーボンニュートラルなどESG投資やSDGsに貢献できる事業を広げ、ブランド力を高めていきたいと考えています。

   

ブランディングとデジタルマーケティングを同時展開したことで競争力を高め、コロナ禍でも受注増につなげてきた

    「豊かさの人生を創造する」 住生活総合提案企業へ  

― 最後に、2030年に向けたビジョンをお聞かせください。

 

山川:グループのシナジーを高めて、「豊かさの人生を創造する」住生活総合提案企業を目指していきます。

 

住宅販売をスタートとして、お客さまの人生に長く寄り添える企業になりたいですね。今回、新たにスタートした生命保険事業もその一環。実は、1軒の家を建てる過程で、各家庭の家族構成や経済状況、好みや性格など多くの情報が住宅メーカーに集まってきます。そうした情報を生かし、ライフステージに合わせたサービス提供を視野に入れています。土屋ホーム不動産やリフォーム事業を展開する土屋ホームトピアを含め、グループシナジーを最大化してお客さまの人生をサポートしていきたいと思います。

    ブランディング・戦略PR支援サービス特設サイト    

PROFILE

    • 会社名:株式会社土屋ホーム
    • URL:https://www.tsuchiyahome.jp/
    • 所在地:北海道札幌市北区北9条西3丁目7番地
    • 設立:1976年(土屋ホールディングス)
    • 従業員数:760名(土屋ホールディングス グループ連結、2021年10月31日現在)
※ 掲載している内容は2022年4月当時のものです。