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コンサルティングケース
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コンサルティングケース 2022.03.18

山路フードシステム:戦略広報アプローチでこだわりの丹沢滋黒軍鶏をブランド化

 

ポイント


1 コンセプトを貫く戦略広報で山路ファームの世界観を確立
2 ツールと仕組みづくりを通して、自律した広報活動を支援
3 プロジェクト方式で広報人材の育成を図る

 

 

お話を伺った人


山路フードシステム 代表取締役 松井 大輔氏

 

 

 

 

 

最高の食材を求めて「ひとり6次産業化」に辿り着く

 

—— 2019年に新規事業として山路ファームを設立されました。事業概要を教えてください。

 

松井:山路ファームでは、飼育方法にこだわったブランド地鶏・丹沢滋黒軍鶏の育成と、丹沢滋黒軍鶏を使った料理の開発、製造、販売、カフェの運営などを手掛けています。

 

—— 丹沢滋黒軍鶏にはどのような特徴があるのでしょうか?

 

松井:軍鶏らしい、肉のしなやかな弾力性と赤身肉のような後を引く旨みが最大の特長です。山路ファームでは、最高の品質・味を実現するために、「鶏ファースト」の育成方法にこだわっており、例えば、鶏舎内は1㎡に4羽以下という広いスペースで鶏を飼育しています。また、抗生物質を一切投与せず、丹沢山系から汲み上げた天然地下水や自家製の発酵飼料に三浦半島で採れるミネラル豊富なひじきを加えたエサを与えるなど、鶏の健康を第一に考えた育成を心掛けています。

 

—— 本業である給食・弁当事業が神奈川県を中心に好調に推移しています。この時期に3次産業から1次産業へ新規参入された理由をお聞かせください。

 

松井:山路グループは給食・弁当事業のほかにもレストランや居酒屋といった外食事業を運営していますが、良い食材を安定的に確保する上で課題を抱えていました。それは、時期やルートによってどうしても食材の品質にばらつきが出てしまうこと。そうした中、食材開拓先として訪ねた、ある農家との出会いが転機となりました。そこで出された新鮮な鶏肉の味に感動した経験が、最高の食材を得るために「自ら生産者になる」という決断につながりました。

 

また、以前から長く事業をさせていただいている神奈川県に貢献したいという気持ちもありました。本社を置く丹沢地区はブナ林が広がる自然豊かな地域。水もきれいで、鶏の飼育に最適な環境です。「ここで、こだわりの地鶏を育成したい」という気持ちと、かねてからの「神奈川県が誇れる名産品を作りたい」という願いが重なり、事業化に踏み切りました。

 

 

同社の丹沢滋黒軍鶏は自然豊かな丹沢地区で大切に育てられている

 

 

丹沢滋黒軍鶏のブランディングに挑戦

 

—— 丹沢滋黒軍鶏を使った商品を開発し、2021年5月からオンラインショップで一般消費者向けの販売をスタートされました。

 

松井:オンラインショップでは、丹沢滋黒軍鶏を使ったコースメニューなどを販売しています。これまでは、直営の「Cafe WILD CHICKEN」(宮ケ瀬湖畔園地内)のみで提供していましたが、地鶏本来の味をご家庭でも楽しんでいただきたいとの思いからECサイトでの販売をスタートさせました。山路ファームで育成したこだわりの地鶏とプロの料理人の腕、そして弊社が給食・弁当事業で培った冷凍技術を組み合わせることで、地鶏本来のおいしさを再現できる商品ができたと自負しています。

 

—— 今回、丹沢滋黒軍鶏のブランド化やマーケティングに当たって、タナベ経営にコンサルティングを依頼していただきました。その理由をお聞かせください。

 

松井:山路ファームを立ち上げた当初から、「こだわりの丹沢滋黒軍鶏を多くの人に楽しんでいただきたい」「消費者向けに販売したい」という思いはありました。特に、たくさんのこだわりが詰まっているだけにブランド化を念頭に置いていましたが、BtoBのビジネスが中心だった弊社にとって、BtoCは未知の領域。社内には消費者に向けたブランディングのノウハウもありませんでした。そうした中、タナベ経営から戦略広報によるブランディングのご提案をいただき、サポートをお願いすることにしました。

 

—— 実際、どのようなプロセスで取り組まれたのでしょうか?

 

松井:まず、社内にプロジェクトチームをつくりました。美大出身の社員や料理人として20年以上のキャリアを持つ山路ファームの責任者、チームをまとめるリーダーをメンバーに迎え、私や常務の松井も参加して2020年11月にキックオフキャンプを実施。丸一日かけて環境分析やポジショニング、商品コンセプトなどを明確化した後、約半年かけて広報を中心とするブランディング施策のためのツールづくりや体制づくりに取り組んでいきました。

 

 

 

神奈川県愛甲郡清川村の宮ケ瀬湖畔園地内で運営している「Cafe WILD CHICKEN(カフェ ワイルドチキン)」の様子