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コンサルティングケース
コンサルティングケース
TCGのクライアントが持続的成長に向け実践している取り組みをご紹介します。
コンサルティングケース 2021.01.29

コンクリートコーリング:環境配慮型の工法開発でナンバーワンを目指す

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 本部長代理 松本 宗家
クライアントの立場に立った現場優先のコンサルティングを実践。組織戦略や評価連動型人材育成システムの構築など、人材に携わるコンサルティングに定評がある。「企業は人なり」をクライアント企業とともに体現することに心血を注いでいる。中小企業診断士。

 

 

中期ビジョンの目標を1年前倒しで達成

 

西村 中期ビジョンで取り組まれているテーマを教えてください。

 

藤尾 既存事業の強化として「営業強化」「施工能力アップ」「人材育成」「業務効率化」をテーマに掲げ、それぞれにリーダーを置いて意欲的に取り組んでいます。

 

営業強化としてはチーム営業体制やウェブサイトのリニューアルを行いました。チーム営業体制を敷いたのは、営業担当者が退職してしまうと顧客も離れてしまうという苦い経験からです。ベテランと新人がチームを組んで目標を設定し、たとえ1人が抜けてもフォローできる体制にしました。

 

また、ウェブサイトをリニューアルすることで「数を打てば当たる」営業スタイルから、「当社の工法に興味があるお客さまに注力する」効率の良い営業スタイルへの転換を促進。今後は営業アシスタントが「インサイドセールス」を行えるような体制にしたいと考えています。

 

施工能力アップは「仕事はあるのにこなせる人がいない」という状況を解消するための取り組みです。継続的に新入社員を採用し、CCCアカデミーで早期戦力化を進めます。長らく85名前後だった社員数が、2021年4月には106名になる予定です。

 

業務効率化は、中元が中心となってIT化を推進しています。

 

中元 営業担当者が顧客情報を共有できるようなグループウエアの導入、業務内容に適合した販売管理ソフトの構築、働き方改革に合わせたクラウド型タイムカードの導入、社用スマートフォンの内線化、ビジネスチャットの導入などを実施しました。ビジネスチャットは社員同士のコミュニケーションをアップさせるのにとても効果的で、以前よりも組織の一体感が出てきたと感じています。また、業績優秀な営業担当の行動を営業担当者全員の行動基準にしてもらうため、営業のモデリングにも着手しました。

 

森田 中期ビジョンには「46期に売上高40億円、営業利益率12%以上」を掲げ、1年前倒しで目標を達成しました。中期経営計画の最終年を2022年に控えた今期は「人材強化期」の最終年。強化した人材と共に、2年後、どれだけ数字を上積みできるか楽しみですね。

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 チーフコンサルタント 西村 直人
「人は変わる、変えられる」を信条に人事制度構築や人材育成の仕組みづくりなど、人事全般のコンサルティング活動を展開中。また、人材育成面では、経営者から新入社員までのプログラムの設計から運営で幅広く活躍。特に、幹部~若手クラスの人材育成のノウハウには定評がある。

 

 

ウェブを意欲的に活用し新卒人材を確保

 

西村 直近ではホームページもリニューアルされました。その背景および内容についてお聞かせください。

 

中元 最近は求職者が事前にウェブサイトで会社を研究し、ふるいに掛けているような気がします。当社の以前のホームページは私が6年前に作成したもので、社員の笑顔の写真を多数載せるなどの工夫によって「求職者の質が変わった」という実感がありました。そろそろ更新すべきだと考え、タナベ経営と一緒に1年かけてリニューアルしました。

 

当社は安全第一に徹した施工を行い、その取り組みは業界トップクラスだと自負しています。さらに、2019年には国際コンペティション「ダイヤモンドアワード」で最優秀賞を受賞しています。こうした当社の優秀性や取引先からの評価、保有する特許内容をホームページに盛り込み、営業強化へつなげています。また、採用ページには多くの若手社員に登場してもらい、生き生きとしたイメージを打ち出しました。ホームページのリニューアルを通して、当社のブランディングに寄与できたと感じています。

 

西村 ホームページのリニューアルは採用強化にもつながっています。採用の状況をお聞かせください。

 

中元 建設業は危険・きつい・汚いというイメージがあり、人材不足に常に悩まされています。当社も2017年には採用ゼロとなり、ベトナムから技能実習生をスカウトしました。こうした苦しい状況で、大学の新卒者を初めて採用するために立ち上げたのが採用委員会です。初期は試行錯誤の連続でしたが、1次面接から社長が参加して志願者全員に会うシステムにすると、採用が順調に進むようになりました。

 

2020年はコロナの影響で新卒採用が危ぶまれましたが、早い段階からZoomでの会社説明会や1次面接に切り替えたおかげで、予定していた採用枠を達成できました。Zoomでの面接で何よりも驚いたのが、北海道在住の人を採用できたこと。「ITを使えば、地方に出向かなくてよい時代になった」と思いました。

 

 

追い風の吹く業界で“別格”とされる存在へ

 

森田 最後にコンクリートコーリングが目指す姿と今後の事業展望をお聞かせください。

 

藤尾 当社の経営理念は「コンクリート撤去・除去の課題解決を使命とし、安全・誠実・技術を追求することで幸せな社会の発展に貢献します」です。社員みんなが経営理念を体現して課題解決のできる人になり、社会の発展に貢献できる技術を磨いていく——。そのような社員たちが尊敬し合える職場で、幸せに働けるのが理想です。以前は「腕自慢の技術屋の集まり」といったイメージでしたが、最近は「組織としてまとまってきているな」と感じています。

 

今後20年にわたる高速道路のリニューアルなどで、業界には追い風が吹いています。こうした良好な事業環境の中で、価格競争に陥ることのない“別格”として選ばれる存在になりたいと思います。そのために「環境配慮型の工法開発でナンバーワン」になることを掲げ、採用や教育に力を注いできました。レベルアップした人材がリーダーになって、現場で気付いた開発のヒントを自由に発言できる社風をつくってもらいたい。新工法や新規事業の提案などがあれば、私も積極的に応援していきたいと思っています。

 

遅ればせながら、当社は2020年から完全週休2日制を実現しました。社員には付加価値の高い仕事を追求する一方で、プライベートも充実してもらい、そこで得た新たな気付きを仕事に生かしてもらう“善循環”になるよう、積極的に支援していきます。そして「この事業を通じて、私たちに関わる人たちが幸せになる」ことを、これからもずっと追い求めていきます。

 

森田 その道のりを切り開くパートナーとして、ぜひ、ご一緒させてください。本日はありがとうございました。

 

 

PROFILE

  • コンクリートコーリング(株)
  • 所在地:大阪府大阪市都島区毛馬町5-15-24
  • 設立:1978年
  • 代表者:代表取締役社長 藤尾 浩太
  • 売上高:30億円(2020年8月期)
  • 従業員数:95名(2020年8月現在)