機械工具の提供を通して、長岡(新潟県長岡市)のものづくりの現場を支えてきた淵本鋼機。70周年を迎えた2019年、経営ビジョンを社内外に示すとともに、社内に向けて自社の歴史や強みを共有できるインナーブランディングに着手。70周年CI(コーポレート・アイデンティティー)コンセプトの策定や動画制作を通して、自社の強みや目指すべき姿を明確に打ち出すことに成功している。
ホームページのトップ画像も、70周年を機に刷新。左から順に、同社で数十年前に取り扱っていた工具を時系列で並べ、最後は最新の工具を配置。同社の過去、現在、未来を右肩上がりで表現した
70周年事業で顧客と社内に経営ビジョンを示する
周年事業は社外に対して自社の姿勢をアピールする機会でありながら、インナーブランディングを図る上でも重要な機会となる。つまり、経営方針を共有し、自社の理解を深めてもらい、社員に仕事へのモチベーションを高めてもらうのである。対外的なPR効果と社内ブランディングという二つの目的を果たすべく、淵本鋼機の70周年事業が進められた。
「タナベ経営 SPコンサルティング本部に私の思いや経営の方向性を伝えました。提案いただいたビジュアルを自社サイトのトップページに掲載したことで、当社が目指すべき方向性を内外にアピールできたと感じています」(淵本氏)
同社ホームページのトップにあるメインビジュアルは、同社が販売する主要製品である切削工具が右肩上がりに並べられ、過去から未来に向かって成長していくイメージを表現。このビジュアルに「ビジョン実現パートナーとして会社の未来をともに創る~Challenge to “Only be Chosen”~」というメッセージが添えられている。
これは、製品提供のみならず、適切なアドバイスなどソフト面も含めたプラスアルファのサポートで、顧客のあるべき姿を実現するという淵本鋼機の経営姿勢をストレートに表したもの。その姿勢を広く伝えるために、同ビジュアルはリーフレットやポスターにも展開されている。
また、70周年を記念して社史や会社概要を紹介する動画の制作も、タナベ経営に依頼した。動画は社員の研修旅行などで活用されているが、こうした制作物によって社内にも変化が表れ始めているという。
「私は3代目社長ですが、初代や2代目の現役時代に入社した者も在籍しており、幅広い年代の社員が働いています。時代背景や仕事に対する考え方の違いから少なからず世代間ギャップもありましたが、それを埋めるツールとして効果を発揮しています。また、若い社員は以前よりも主体的に行動するようになるなど、私自身の思いが社員に浸透してきている実感があります」(淵本氏)
今まで築き上げた販路網を図解化し、デザインの一部としたホームページのトップ画像2枚目。販路網の拡大を「未来で輝く光の繋(つな)がり」として表現
フェア会場の様子。来場者が熱心にメーカーの展示物を確認している
メルマガ活用によりフェア来場数が過去最多に
社外に対するアピールに関しては、確実に効果が上がった。というのも、2019年4月開催のプロダクティブフェアには507名が来場。これは前年度の約1.5倍、5年前の倍以上に相当する過去最多の数字である。そんな好結果をもたらしたのが、メールマガジンの有効活用だった。
「もともとセールスフォースを導入し、クラウド上で顧客情報を管理していました。どうにかして顧客リストを活用できないかと思っていたところ、SPコンサルティング本部にライティング面でサポートいただけると知り、メールマガジン配信サポートを依頼した経緯があります。
プロダクティブフェアについて、これまではダイレクトメール(DM)でお知らせしていましたが、DMはコスト上の課題があって基本的に1回しか送付できません。一方、メールマガジンなら複数回、送ることができます。そうすることで、お客さまの目に留まる機会が多くなり興味を持っていただいたことが、来場者数の増加につながったのだと考えています」(淵本氏)
メールマガジンは従来のDM発送よりも早い時期からスタートし、合計4回配信。メールマガジンの文章は、毎回新たな情報を追加することで顧客の興味を引くよう工夫を凝らした。
また、メールマガジンは、既存顧客に加えて休眠顧客や新規顧客にも送信することで集客拡大を狙ったという。そんな集客拡大施策が功を奏し、好結果をもたらしたのだ。
70周年記念ブランディング動画も制作。社内向けだが、フェア会場でも限定放映した
創業100年を目指す社長の目に映る未来は、
「経営改善に繋がる提案ができる商社」
淵本鋼機はプロダクティブフェアにおいて、製品展示以外にセミナーも開催している。日頃、感覚的に行っている金属加工の作業を理論的に理解してもらうための、座学中心のセミナーで、金属加工現場で働く顧客企業の社員向けに行われるものである。「ベテラン社員が感覚的に覚えてきたことを論理的に理解し直すこと」を促す内容とも言えるセミナーであり、その評価は高い。
「メールマガジンの配信によって、セミナー参加者は昨年の倍以上になりました。製品を販売するだけでなく、お客さまの抱える課題を解決することも当社の大切な役割の一つです。それが『唯一無二の選ばれるパートナーを目指して』という企業ビジョンにもつながると考えています。最善のソリューションを提供する場でもあるセミナーに、多数の来場者を迎えることができたのは大きな収穫でした」(淵本氏)
2019年のプロダクティブフェアで、大きな成果を収めた淵本鋼機。すでに次年度に向けた取り組みも進めており、タナベ経営では、会場に訪れた顧客に対するアンケート調査やヒアリングを通して要望を整理中だ。さらに、顧客に満足してもらえるセミナーづくりを二人三脚で進めているところである。
次の10年、そして、その先の100周年を目指して、顧客との強固な関係づくりを進める淵本鋼機。その歩みは今後さらに加速しそうだ。
淵本鋼機 代表取締役社長 淵本 友隆氏
PROFILE
- ㈱淵本鋼機
- 所在地:新潟県長岡市四郎丸4-7-12
- 創立 : 1949年
- 代表者:代表取締役社長 淵本 友隆
- 売上高:41億円(2019年5月期)
- 従業員数:54名(2019年11月現在)
マーケティングコンサルティング本部SPコンサルタント
藤島 安衣