その他 2022.12.13

Vol.20 経営者が押さえるべき3つの数値

 

 

押さえておきたい経営指標

 

vol.19では、後継経営者のマインドセットについて解説してきました。vol.20では、後継経営者が押さえておくべき経営指標について解説します。

 

経営者が見るべき数値は、①財務体質、②安定収益力、③理念・ビジョン浸透度、に区分できます。

 

いわゆる“優秀企業”のトップは、「経常利益率10%以上を目指す」「無借金経営を実現する」など、経営数値の価値基準(あるべき姿)を持っています。ブレのない原理原則を片手に、わが道を歩んでいるのです。

 

一方、財務体質の弱い会社ほど「うちの業界では」「ライバル企業では」などの枕詞を置き、経営数値を語ります。しかし、経営において「業界平均値」や「黒字企業平均値」などに本質的な意味はありません。経営数値はトップの信念がなければ実現しません。「信じる(念じる)に値する数値」こそが「絶対値」です。

 

次に示す「Step to Default〈STD〉―債務不履行、悪循環への階段」、いわば「倒産への下り坂」について押さえ、反面教師のリスクマネジメントとしてチェックしていきましょう。

 

 

 

 

業績価値を理解し、つぶれない価値をつくる

 

業績マネジメントには「価値基準」が必要です。価値基準には、定量(数値目標)と定性(本質価値)があり、特に定性的な本質価値を理解しておくことが先決となります。

 

後継経営者のリーダーシップは、この目的、目標、手段の関係性を理解し、本質価値を発信することです。本質価値を理解させずに、数値のみを強要しても現場は動いてくれません。「手段の数値目標ではなく、目的としての本質価値を組織で共有化すること」が大切になります。

 

売上高の算式は「数量×単価」であり、市場規模における占有率(シェア)で表します。「顧客利益とは何か」を明確にして「顧客の不(不満、不足、不便、不利、不快、不安)」を解決すること。それが売上高の業績価値です。

 

また、目の前の顧客満足を実現できたとしても、新しい顧客を求め、自社の強みを提供し続けなければ売上高は増えません。顧客利益と顧客創造プロセスを改善できなければ、リピート率は向上せず、業績の安定成長は実現しないのです。

 

顧客利益とは何か、顧客創造をどのように進めるか、どうすればそれらを最大化できるのか。売上高はその努力の結果として生まれます。売上高は、経営の手段にはなっても、目的になることはありません。