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コラム
タナベ語録
タナベコンサルティンググループの経営コンサルティングの基盤となっている考え方を、各テーマに沿って紹介します。
コラム 2022.05.06

Vol.16 知っておきたい「ビジネスモデル思考」

   

ミッションから始めるビジネスモデル

  多くの会社には社是・企業理念・経営理念が存在します。いずれも創業者や社長の思い、哲学が織り込まれているものです。これらは企業における最高水準の価値判断基準であり、企業としての在り方やステークホルダー(利害関係者)に対する考え方が示されています   ミッションとは、理念に基づいた企業の存在価値や使命、社会的役割であり、企業におけるミッションとは「社会の課題を解決すること」。ミッションを追求するためには、ソリューション(課題解決技術)が必要であり、このソリューションこそがビジネスモデルとして展開されていきます。     企業の根幹を成す理念は不変のものです。しかし、ミッションは社会課題・顧客課題が変われば、再定義すべきです   自社を取り巻く社会課題・顧客課題を見つめ直し、①未来に確実に起こる顕在的課題、②未来に起こり得る潜在的課題、③自社の顧客や商品の先にある課題と照らし合わせ、今一度、自社のミッションを再定義してみてください。    

変化に強いビジネス構造へ変えていく

  事業の見通しを立てる上で大切な点は、事業を取り巻く環境変化のポイントを押さえ、それにより自社の事業にどういう影響が出るのかを先手先行で予想し、チャンスとリスクを見極めていくことです。自社の事業に影響を与える環境変化のポイント(業界の動向、日本経済の動向、世界の動向)を頭に入れ、「自社の経営環境」を認識する上で、次の3点を押さえておくことが重要です。   1.自社の事業の将来性(チャンスとリスク) 2.自社の事業領域の中におけるポジション(業界順位) 3.顧客ニーズ(顧客マインド)・社会ニーズの変化   また、時代が必要とする事業を起こすことが事業開発の王道であり、世の中が必要とする事業は時代とともに変遷します。   大半の事業は数十年の命です。長い社歴を持つ企業は、伝統産業の企業を除き、常に本業を変革しながら存続してきたのです。既存事業に安住することなく、常に事業の変化と成長にチャレンジしていくことが大切です。新しい時代の成長イメージを描くため、過去の成功体験は忘れ、謙虚に顧客を見つめる目を持っておきたいものです。

事業シフトの法則「1T3D戦略」

  人間は単品ばかり食べていると、バランスを崩して病気になる確率が高まります。事業も同じで、1つの事業に集中しているといずれ経営のバランスを崩すことになります   これを予防し、正しく変化(シフト)する事業戦略が「1T3D戦略」です。「T」はテクノロジー(固有技術)、「D」はドメイン(事業領域)であり、ターゲットとなる事業領域を3つ以上創造することを指します。   ある事業でナンバーワンになっても、トップであり続けることは難しいでしょう。甘んじることなく「1つの固有技術を駆使して、3つ以上の事業領域を攻略し、リスクを分散しながら、それぞれで“ナンバーワンブランド”の創造に挑戦する」ことが 1T3D 戦略の本質です。  

ビジネスモデルで成長・収益力が決まる

  ビジネスモデルとは会社のミッション、すなわち「誰(解決する顧客価値)に対して、何(提供価値)を、どのような手段(提供方法)で提供し、収益はどのように上げるのか」を示したものです。     あなたの会社は、顧客のマインドシェアで何位でしょうか。顧客の心の中にあるものは、1つか2つ、多くて3つ。4番目に思い浮かぶものは、なくても困らない存在です(マインドシェアの法則)。   また、マインドシェア1位と2位の商品では、利益率に大きな差が出ることも証明されています。顧客から一番に選ばれる会社、突き抜けるビジネスモデルへとブランディングをしていかねばなりません。   ビジネスモデルの変革なくして、成長力と収益力は変わりません。①顧客価値を変える(顧客そのものを変える、または、顧客は同じでも顧客価値を絞り込む)、②提供価値を変える(再発明する)、③提供方法を変える、④収益モデルを変える、⑤勝ち組のマネは負け、という5つを考慮したビジネスモデルの変革によって、成長、収益向上につながります。  

競争力を強化する4つの視点

  コモディティー化する現在の競争環境においては、常に顧客価値という競争力を磨いていかねばなりません。あらゆる業界が寡占化する状況にあって、ライバル他社から競争力で後れを取ることは、市場からの退場を迫られることに直結します。   競争力強化の視点は、①ミッション②製品・サービス③システム④ブランディング、の4つです。   1つ目は、「ミッション」そのものが競争力につながる場合。ミッションそのものが、誰も考えていない・誰も実現できていないこと、希少なものであるということです。自社のミッションと同じものを持つ企業が多ければ多いほど、競争は激しくなります。   2つ目は、「製品・サービス」を競争力とする場合です。常にライバルと比較して、製品・サービスを磨き競争優位に立つ視点です。ただし、この競争力で優位に立っても、瞬く間にライバルに模倣されます。コモディティー化の時代には、製品・サービスで中長期的に優位に立つことは難しいと言えるでしょう。   3つ目は、「システム」が競争力の場合です。圧倒的なスピードの開発力、創造を生む組織カルチャー、販売力を上げる販売時点管理システム(POS)、熟練工でしかできない匠の技術などの競争力のことをいいます。長期間かけて磨いてきたシステムは簡単にはまねができないため、最も優位性のある競争力です    

ブランディングで競争力を高める

  4つ目は、「ブランディング」により、ブランドを育て、顧客の創造力を向上させる取り組みです。   ブランド戦略の対象として、企業ブランド、製品ブランド、サービスブランド、テクノロジーブランド、ブランド人材、ビジネスモデルブランドの6つの領域があります。   SNSなどでつながり、拡散する時代は、ブランド価値を高め、いかに熱狂的なファンをつくるかが顧客創造の鍵になります。大企業やBtoC企業だけではなく、中堅・中小企業やBtoB企業も積極的にブランディング活動に取り組むことが大切です。       ※本文・図はタナベコンサルティング主催「プロ役員セミナー」のテキストを抜粋して制作しています。 プロ役員についてはこちら