コラム
2022.04.01
Vol.14 リーダーの時間管理術
重要な仕事に時間を使うべき
これまで見てきた通り、生産性=投入量(インプット)に対する産出量(アウトプット)の比です。投入する経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間・情報など)のうち、ここでは「時間」に絞って考えます。
次の図は、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著、キングベアー出版)に紹介されている「時間管理のマトリクス」です。
時間生産性で見る場合、総労働時間に対する成果を生産性として捉えることができ、1時間当たりの付加価値をいかに高めていくかが重要となります。
総労働時間は、付加価値労働時間、その付加価値を生み出す準備時間、そのいずれでもない間接業務(事務作業や移動時間、待機時間など)に分けることができます。
間接業務は付加価値を生まない作業であるため、捨てるか、アウトソースするか、効率化していくしかありません。
大切なことは、重要度が高く付加価値を生み出す仕事の時間をしっかり確保し、重要度の低い仕事をスピーディーにさばくことです。
リーダーには、「重要な仕事」と「ムダな仕事」を明確に区分する能力が必要です。そうでないと、全ての仕事が重要になり、バタバタとしているうちに燃えつきてしまうことになりかねません。
最大の敵は「ムダな急ぎの仕事」です。余裕を持って仕事に取り組むためには、前もって段取りを組むことと、重要でない仕事を効率化することが必要です。
仕事の質を高める
付加価値を生み出す重要な仕事においては、質をいかに高め、成果につなげるかが重要です。ポイントは3つあります。
1.仕事のゴール(目的・目標)を明確化する
2.仕事の全体像を掴み、ストーリーを組む
3.仕事を作業レベルに分解し、チーム単位での役割分担を行う(リーダーがやらない仕事を明確化する)
仕事を何のために、どのようなレベル(目標)で、いつまでに、どのようにやるのか。それらをリーダー、メンバーが共有できるチームをつくることが必要です。
チーム生産性を上げる仕事の進め方
リーダーの本質的役割は「的確な判断を下すこと」であり、リーダーの判断スピードを上げることが、組織活動の効率化の要です。
判断スピードを上げるためには、日頃から正しい判断基準を持ち、正しい現状認識の下に的確な判断ができる環境条件を整え、即断即決できるようにしておくことが肝要です。
多くのリーダーはプレーヤーとしての役割も持つため、プレーヤーとしての価値基準で判断することもあります。
しかし、リーダーは常に「チームのために」「メンバー全員の利益のために」という目線で判断をしなければなりません。そうすれば、メンバー全員がそれを「正しい判断である」と認識でき、納得して行動します。判断⇒納得⇒行動が滞りなく進めば、チームが成果に辿りつくスピードも速くなります。
リーダーはまず、自らが正しい価値判断ができているかどうかを内省する必要があります。部下がなかなか指示や命令を行動に移さない場合、原因は、リーダーの判断そのものによるところが大きいのです。
正しい現状認識ができる環境をつくる
リーダーが「的確な判断を下す」ためには、「正しい現状認識」が外せない要件になります。そのためには常に正しい現状認識ができる環境・仕組みづくりをしておく必要があります。
具体的には、自らをチーム全体が俯瞰できる位置に立たせ、メンバーの行動を観察し、日々報告が上がってくる仕組みを作っておくことです。
自らプレーヤーとしての役割を持っていると、チームの全体像が見えなくなり、優先順位の判断力が鈍るため、問題発生時にタイムリーな手を打てないことがあります。そのため、リーダーは極力現場から外れ、ルーチンワークや顧客担当などの現場業務は部下に任せる役割分担が必要になります。つまり、リーダーはチームマネジメント上の判断業務に徹し、リーダーにしかできない仕事に専念することが理想的と言えます。
しかしながら、リーダーは優れたプレーヤーであることも多く、プレーヤーとしての職制を外せないことも多いでしょう。この場合、ナンバーツーをいかに育成するかが重要な課題となります。
正しい価値判断基準と現状認識力が備わったら、あとは判断をするだけです。自信を持って即断即決で対応することが部下との信頼関係を強固なものにします。部下がボールを投げてきたら、すぐ投げ返す。この基本動作を徹底しましょう。それがリーダーとしての判断力に磨きをかけることになります。
判断力は、その人の経験によるところが大きいものです。またいくら経験を積んでもそれが自ら買って出た経験でなければ見識とはなりません。リーダーとしてはただ部下の業務を管理するだけではなく、自らもまた新たな経験を積むべく新しい領域にチャレンジし、成長していかなくてはなりません。
「共通目的×機能分化×自発行動」で成果が決まる
企業の収益力は現場力の結集と言っても過言ではありません。現場とは、第一線で作業をする社員を束ねた最小単位の組織を言い、メンバーをマネジメントするリーダーが現場リーダーです。
現場はチームと言うこともできます。良いチームとは、共通目的・機能分化・自発行動の3要素が揃ったチームです。(詳細はvol.11参照)
共通目的とは、目指すべき姿であり、目標です。これがなければチームはまとまりません。機能分化とは、個々の個性や強みを生かしたチーム編成になっていなければならないということ。個の強みが相互啓発し、互いを尊重し合い、モレなくムダのない理路整然とした業務設計をしていくことが重要です。また、共通目的と役割分担が明確でも、チームメンバーの自発的な行動が伴わなければ成果は上がりません。
この3要素はリーダーにとって必要条件です。優れたリーダーシップなくして業務改善はあり得ません。学びを即実践に落とし込み、強い意志力で確実に現場の成果につなげる。その取り組みが、あなたのリーダーシップを伸ばしていく最大のチャンスとなります。
※本文・図はタナベ経営主催「業務改善スクール」のテキストを抜粋して制作しています。