Vol.14 リーダーの時間管理術
これまで見てきた通り、生産性=投入量(インプット)に対する産出量(アウトプット)の比です。投入する経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間・情報など)のうち、ここでは「時間」に絞って考えます。
次の図は、『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著、キングベアー出版)に紹介されている「時間管理のマトリクス」です。
時間生産性で見る場合、総労働時間に対する成果を生産性として捉えることができ、1時間当たりの付加価値をいかに高めていくかが重要となります。
総労働時間は、付加価値労働時間、その付加価値を生み出す準備時間、そのいずれでもない間接業務(事務作業や移動時間、待機時間など)に分けることができます。
間接業務は付加価値を生まない作業であるため、捨てるか、アウトソースするか、効率化していくしかありません。
大切なことは、重要度が高く付加価値を生み出す仕事の時間をしっかり確保し、重要度の低い仕事をスピーディーにさばくことです。
リーダーには、「重要な仕事」と「ムダな仕事」を明確に区分する能力が必要です。そうでないと、全ての仕事が重要になり、バタバタとしているうちに燃えつきてしまうことになりかねません。
最大の敵は「ムダな急ぎの仕事」です。余裕を持って仕事に取り組むためには、前もって段取りを組むことと、重要でない仕事を効率化することが必要です。
付加価値を生み出す重要な仕事においては、質をいかに高め、成果につなげるかが重要です。ポイントは3つあります。
1.仕事のゴール(目的・目標)を明確化する
2.仕事の全体像を掴み、ストーリーを組む
3.仕事を作業レベルに分解し、チーム単位での役割分担を行う(リーダーがやらない仕事を明確化する)
仕事を何のために、どのようなレベル(目標)で、いつまでに、どのようにやるのか。それらをリーダー、メンバーが共有できるチームをつくることが必要です。
リーダーの本質的役割は「的確な判断を下すこと」であり、リーダーの判断スピードを上げることが、組織活動の効率化の要です。
判断スピードを上げるためには、日頃から正しい判断基準を持ち、正しい現状認識の下に的確な判断ができる環境条件を整え、即断即決できるようにしておくことが肝要です。
多くのリーダーはプレーヤーとしての役割も持つため、プレーヤーとしての価値基準で判断することもあります。
しかし、リーダーは常に「チームのために」「メンバー全員の利益のために」という目線で判断をしなければなりません。そうすれば、メンバー全員がそれを「正しい判断である」と認識でき、納得して行動します。判断⇒納得⇒行動が滞りなく進めば、チームが成果に辿りつくスピードも速くなります。
リーダーはまず、自らが正しい価値判断ができているかどうかを内省する必要があります。部下がなかなか指示や命令を行動に移さない場合、原因は、リーダーの判断そのものによるところが大きいのです。