①理念・ビジョンの浸透
社長に最も求められるコミュニケーションとは、細かい指示・命令や業務連絡ではなく、社内における上位概念の価値判断基準である理念やビジョンを組織に浸透させるためのコミュニケーションです。これを社内に浸透させることが社長の最も重要な仕事の1つです。
②社長メッセージ
理念やビジョンを実現するために、社長が社員に向け、常に朝礼や社内報・メールなどを通じて定期的に社長自身の考えをメッセージとして発信します。社員は、「理念・ビジョンを追求する社長の考えに納得ができるから、みんなで頑張ろう」と一体感が生まれ、やる気とモチベーションが高い状態を維持します。
材料不足で意思決定することを「決断」といいます。決断は100%的中するわけではなく、決断のミスは行動力でカバーします。
さらに、物差しを持つことが大事です。「会社か自分か」ならば会社、「会社か顧客か」ならば顧客を選ぶ。部分ではなく、全体を見ることが必要です。
厳しい環境になればなるほど、社長に求められる決断業務も難しくなります。さらに昨今は環境変化が急であり、決断の的確さに加え、「決断のスピード」も要求されます。
社長としての究極の任務(責務)は借入金、投資、契約の可否に関する最終決断であり、これを誤ると会社をつぶしてしまいます。
バラバラな個の集団である組織を、1本に束ねるのがビジョンと経営方針です。経営方針の重要性は、企業が大きくなるにつれて増大します。
「優れた方針の確立」と「巧みな方針の伝達」。これは経営集団を編成する際の絶対条件です。
方針作成に当たっては、前年度の反省を踏まえ「重点を絞る」こと。そして末端まで徹底する努力を惜しんではなりません。
働く人々に生命を与えるもの、俊敏な総合力を発揮するものが経営方針であり、経営方針を出発点として計画設定、組織編成、差異コントロールという一連の管理が始まります。経営管理という道具を生かすのは、経営方針の確立に責任を持つ社長自身であると言っても過言ではありません。
企業改革の場合でも、コストカットだけでは成功せず、苦しい戦いに挑む社員とのビジョン共有が要となります。
社会に必要とされる企業は生き残れます。社長は、会社をつぶさない基準(最低基準)を持つこと。どうすれば品質・コスト・サービス・スピードで勝てるか、腹を決めて考え抜くことが重要です。
①借入金限度額……年商の30%以内
②自己資本比率……30%以上
③営業利益…………金利(支払利息・割引料)の3~4倍以上(インタレスト・カバレッジ)
「企業は人なり」であり、経営は心理問題です。また、社員は「仕事」「個人」「家庭人」の「3つの顔」を持っています。そのことによく心を配り対応すること。
会社の発展と社員の幸せが一致するように、経営の許す限り最大限の刺激を与えることが重要です。
※本文・図はタナベ経営主催「社長教室」のテキストを抜粋して制作しています。