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コラム
タナベ語録
タナベコンサルティンググループの経営コンサルティングの基盤となっている考え方を、各テーマに沿って紹介します。
コラム 2021.09.12

Vol.04 ビジョン浸透のための全社戦略①

   
全天候対応のシミュレーションで中長期経営計画を立てる
  今回は、ビジョン浸透に欠かせない「中期経営計画の策定」「経営者の積極的な人づくりへの関わり」について解説します。   まず、中期経営計画について、策定の際は「晴れ」「くもり」「雨」の全天候型でシミュレーションを行います。   「晴れコース」は期待通りに計画を実現できる場合、「くもりコース」は軌道修正をしながら、ある程度の成果を実現できる場合、「雨コース」はうまくいかず、撤退まで視野にいれておく場合。どのような環境になっても対応できるよう、準備をしておくことが大切です。   また、持続的成長を志す優良企業には、「新たな未来をつくる」ための「育成段階にある赤字の事業・部門・商品・サービス」が必ず存在します。   こうした「健全な赤字」には、金額、期限、共有の3K、つまり「いくらまで投資する」「いつまで続ける」かを明らかにし、基準に達しなければどうするかを決めておき、それを「共有する」ことが必要です。   このとき、「冷徹」「保守的」という視点が外せません。「プラン1」が成果を生まない場合に備えた「プラン2」は、保守的である必要があります。具体的には、「市場Aからは撤退し、市場Bのみに絞る」「組織を縮小し、C商品のみで出直す」などの視点です。   「やめる=敗北」ではありません。むしろ、始めた戦略をズルズルやめられないことこそ敗北なのだと肝に銘じておきたいものです。    
社員参画型の中期経営計画をつくろう
  中期経営計画の策定プロセスから社員に参画してもらうことで、理解度が増し、納得性と実行におけるモチベーションアップにもつながります。   中期経営計画のインナーブランディングは、この段階からスタートしています。策定のポイントは次の通りです。   ①経営理念を理解するため、価値判断基準を明確にし、問題や課題の定義から始める ②全社を巻き込んで策定するため、どの段階で巻き込んでいくかを決める ③言葉の意味を統一する ④定性的な議論にならないよう、常に根拠を数字化する習慣をつける   中期経営計画を策定する方法としては、取締役会プロジェクト推進型、プロジェクト型ジュニアボード、スクール型ジュニアボード、ビジネススクール型の4つのタイプがあります。              
中堅・中小企業の社長が採用・育成・活躍に取り組むべき3つの理由
  次に、ビジョン浸透のための全社戦略として有効な2つ目のポイント、「経営者の積極的な人づくりへの関わり」についてご説明します。   1.優秀社員の採用、採用ブランディング   中堅・中小企業においては、新卒採用と同時に、中途であっても未経験者の採用を進める必要があります。   新卒採用や未経験者採用を成功させるためには、従来の「集めて選ぶ」採用手法ではなく、「共感を生み、選ばれる」という発想への転換が必要です。   採用に成功している企業の共通点は次の3つです。   ①経営者が自ら採用活動に積極的に関わっている ②全社員が採用活動に関わる意識を持っている ③どのような人材が自社に合うのか明確に定義している   採用活動を通じて、自社のブランド価値を高めていく視点も重要です。特にBtoC企業では、新卒採用は未来の顧客づくりに直結するため、不採用者に対しても最後まで気遣いを忘れてはいけません。通常発生している広告宣伝費を考えれば、新卒採用の広告費は費用対効果が高いと捉える企業も多くあります。   近年は、BtoCに限らずBtoB業界でも、自社をより多くの求職者に認知してもらう目的で、採用活動自体の付加価値を高め、自社のブランディングにつなげる企業も増えています。   2.社内アカデミーで早期育成   近年、就職活動中の学生や転職希望者が会社を選ぶ際、「自分が成長できるかどうか」を重視する人が増えています。   そこで、成長を支援するシステムとして「社内アカデミー(企業内大学)」をPRし、成長イメージを打ち出すことで他社との差別化につながり、採用ブランディングになります。   社内アカデミーとは、社内に大学を設けるイメージで、体系的・計画的に教育を行っていく仕組み。その根幹となる考え方は「必要能力-保有能力=教育テーマ」です。   必要能力は、企業ミッションとコアバリュー(核となる価値観)などから抽出されるもので、階層別・職種別に定義されます。特に、テクニカルなものについては、スキルマップとして詳細に定義されます。   そして、人事考課表や性格特性、社風、スキルマップなどから保有能力を調査し、必要能力とのギャップから教育テーマを抽出します。教育テーマは、階層別・職種別に体系化し、社員のキャリアパスや人事制度(昇進・昇格)と連動させ、図式化します。こうすることで、研修受講の公平性を確保できるとともに、人材が育つ仕組みや風土をつくることが可能となります。   社内アカデミーで欠かせない視点として、若手社員の「早期戦力化」があります。単に教育を体系化するのではなく、一人前人材をいかに早く輩出するかを重視します。「一人前になるには10年かかる」といった従来の考え方は、新しい時代に通用しなくなってきています。   早期戦力化のためには「新入社員~入社4年次」までに必要な能力を細かく定義し、その能力を強化するための研修カリキュラムを充実させることが必要です。(アカデミー導入事例はこちら   3.戦略リーダーを育てる   自社が持続的に成長し、顧客に選ばれ続けるためには、成長エンジンとなる新事業開発や事業の多角化が不可欠です。その際に責任・権限を持って推進していくリーダーが、戦略リーダーです。   戦略リーダーは、必ずしもマネジャーである必要はありません。階層や役職にこだわらず、成長エンジンとなる事業の推進に最適な人材こそが、戦略リーダーとなり得るのです。        
今回のまとめ
  今回の記事を通じ、ビジョン浸透のための戦略として、①社員参画型の中長期経営計画の策定、②社長自ら人材の採用・育成・活躍に取り組む、という2つが重要であることを理解いただけたかと思います。   次回(Vol.5)は、「ビジョン浸透のための全社戦略②」と題し、インナーブランディング・チームビルディングの重要性についてご説明します。         ※本文・図はタナベ経営主催「社長教室」のテキストを抜粋して制作しています。