今回は、ビジョン浸透に欠かせない「中期経営計画の策定」「経営者の積極的な人づくりへの関わり」について解説します。
まず、中期経営計画について、策定の際は「晴れ」「くもり」「雨」の全天候型でシミュレーションを行います。
「晴れコース」は期待通りに計画を実現できる場合、「くもりコース」は軌道修正をしながら、ある程度の成果を実現できる場合、「雨コース」はうまくいかず、撤退まで視野にいれておく場合。どのような環境になっても対応できるよう、準備をしておくことが大切です。
また、持続的成長を志す優良企業には、「新たな未来をつくる」ための「育成段階にある赤字の事業・部門・商品・サービス」が必ず存在します。
こうした「健全な赤字」には、金額、期限、共有の3K、つまり「いくらまで投資する」「いつまで続ける」かを明らかにし、基準に達しなければどうするかを決めておき、それを「共有する」ことが必要です。
このとき、「冷徹」「保守的」という視点が外せません。「プラン1」が成果を生まない場合に備えた「プラン2」は、保守的である必要があります。具体的には、「市場Aからは撤退し、市場Bのみに絞る」「組織を縮小し、C商品のみで出直す」などの視点です。
「やめる=敗北」ではありません。むしろ、始めた戦略をズルズルやめられないことこそ敗北なのだと肝に銘じておきたいものです。
中期経営計画の策定プロセスから社員に参画してもらうことで、理解度が増し、納得性と実行におけるモチベーションアップにもつながります。
中期経営計画のインナーブランディングは、この段階からスタートしています。策定のポイントは次の通りです。
①経営理念を理解するため、価値判断基準を明確にし、問題や課題の定義から始める
②全社を巻き込んで策定するため、どの段階で巻き込んでいくかを決める
③言葉の意味を統一する
④定性的な議論にならないよう、常に根拠を数字化する習慣をつける
中期経営計画を策定する方法としては、取締役会プロジェクト推進型、プロジェクト型ジュニアボード、スクール型ジュニアボード、ビジネススクール型の4つのタイプがあります。