※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。
中小企業庁のアンケート調査によると、経営者の引退年齢は60歳代後半~70歳と高齢化が進んでいる。また、2025年には6割以上の経営者が70歳を超えるが127万社で後継者不在と、事業承継に関する経営課題が浮き彫りになっている。
事業承継を考える上で、大きく「親族内承継」「ホールディング経営」「IPO(株式上場)」「MBO(経営陣買収)」「M&A」の5つがある。(【図表1】)
株式会社タナベ経営
ファンクションコンサルティング東京本部長
鈴村 幸宏
メガバンクにて融資・外為・デリバティブ等法人担当を経て、2005年タナベ経営入社。2020年よりファンクションコンサルティング東京本部長兼戦略CFO研究会リーダー。経営戦略・収益戦略を中心に幅広いコンサルティングを展開。企業を赤字体質から黒字体質にV字回復させる収益構造改革、ホールディングス化とグループ経営推進支援、ファイナンス視点による企業価値向上、投資判断、M&A支援の実績多数。
日本企業を取り巻く経済環境は、加速度的に変化している。過去の概念を踏襲するだけでは生き残れない時代になった。激変する経営環境の下、「独立資本で経営を貫くことの意義」を再確認する必要がある。
帝国データバンク「全国社長年齢分析」(2021年2月)によると、全国の社長の年齢割合において、70歳代以上の割合が全体の4分の1を占めることから、社長の高齢化・事業承継が喫緊の課題である。また、高齢社長が在籍する中小企業は、社長の属人的なスキルで経営を支えているため、M&A後の企業経営の難易度が高い。現社長が若いうちから長期的な視野に立ち、事業昇継Planを立案・実行する必要がある。
非上場企業が事業昇継Planを策定する際、ファイナンス戦略を柔軟に、かつ多様化しておくことが重要である。①金融機関からの借り入れ以外のファイナンス手法、②財務バランス、③最適資本構成の3つを意識していただきたい。また、事業昇継を実行に移す際は、オーナー経営者のEXIT Plan(出口戦略)を見据え、企業として「やりたいこと」「できること」を見極め、事業計画・資本政策を立案することが重要だ。
成長事業の分離による資金調達事例を紹介する。成長企業を別会社化し、株式を譲渡して事業価値を一部資金化。新会社はIPOを目指し、既存会社は売却資金で新事業を開始した。
グローウィン・パートナーズ株式会社
代表取締役CEO
佐野 哲哉氏
2005年の創業以来、企業を支える「経営参謀のプロフェッショナルチーム」として、主に上場企業を対象にM&A支援事業、ベンチャー企業投資事業、バックオフィス業務のコンサルティング支援を展開。自社の存在目的を「Making Corporate Innovation(コーポレート・イノベーションの創造へ)」と定義し、クライアント企業と自社の企業変革にチャレンジし続けている。
※役員と従業員が株式を買い取り経営権を掌握する手法
セリオ株式会社
代表取締役会長CEO 兼
人を大切にする経営学会 常任理事
壹岐 敬氏
1956年鹿児島県生まれ。1979年住友銀行(現三井住友銀行)に入社。主にコーポレートファイナンスを担当。1991年住友銀行退職後、NPO法人の立ち上げに参画。その後、ベンチャー企業数社でIPO担当役員を歴任。米デラウエア州にて米国公認会計士試験に合格。2005年セリオ東洋グループに入社。2011年同社代表取締役社長に就任。
株式会社タナベ経営
ファンクションコンサルティング大阪本部
本部長代理
浜岡 裕明
2006年タナベ経営入社。経営者の志を受け止めるコンサルティングスタイルで、ホールディング設立支援・グループ経営システム構築・事業承継計画策定・企業再生など経営機能別コンサルティングに定評がある。組織経営体制を目指した経営システムの構築、後継者・経営幹部育成を多数経験している。ビジネス・ブレークスルー大学大学院(経営学修士)修了。