•  
レジリエンス戦略のメインビジュアル
コラム
レジリエンス戦略
「低成長×非連続×高速変化」という経営環境下で、自社をしなやかにアップデートしていくための「レジリエンス戦略」について提言します。
コラム 2022.12.28

vol.8 全員がリーダーシップを発揮する自律的組織

Vol.8では、「レジリエンス戦略」を推進していく上での経営戦略として、「組織の機能」について、具体策をご紹介します。    
VUCA時代の組織とリーダーシップ
  VUCA時代の組織では、各チームや人材の力を強め、メンバー全員がリーダーシップを発揮できるような体制をつくり、スピード感を持って複雑な変化に対応していかなければなりません。  
①リーダーシップを多く生み出す 利潤追求と社会課題決の両輪でこの先も企業が成功していくためには、これまでのように経営トップ個人によるカリスマ型の強力なリーダーシップだけでは太刀打ちできなくなっています。   イノベーションを継続して生み出している多くの企業では、経営層や管理者だけではなく、全員がリーダーシップを発揮できる環境が整えられつつあります。
 
②OODAループを実践した自律型組織へ 激しく変化する市場や顧客ニーズを迅速に把握・反映することが求められる現在、「OODAループ」という思考法が注目されています。   OODAループは、想定外のことが起こることを前提にして、企業や個人が目指す成果を決め、行動し続ける点が特徴です。最初に目標を決め、実際の行動は個人に任せ、チームの意思を統一しながら改善していくことで、スピード感を重視して行動します。計画に執着しないから、問題が起きてもループを回し続けられる点が強みです。   OODAループはあくまでもマネジメントツールです。社員一人一人が状況に応じて最適解を導けるようになるためには、組織の行動指針を共有できている状態をつくり、上司や会社の判断を待つことなく、その会社らしい決断行動をとることが必要です。
 
③権限委譲とフラットなネットワーク型組織 近年、一部の企業では、階層そのものをできる限り減らし、上下関係がフラットなネットワーク型組織をつくる傾向が見られます。ネットワーク型組織は階層が存在せず、クモの巣をつなぎ合わせたような形をしており、組織のメンバーがフラットにつながりを持つことができるため、情報がスムーズにやりとりされ、スピーディーな意思決定や自由に意見を出し合える点がメリットです。   一方で、役割分担と責任の所在が曖昧になりがちであるため、組織の目的を明確に定め、社員のセルフマネジメント力(個人の高い責任感と自己管理能力、問題解決能力など)を高めていく必要があります。
新しい組織機能
 
①DXを推進する組織 デジタルの広がりによる顧客ニーズの変化に対応し、新たな次元の競争に打ち勝っていくために、自社のデジタル戦略を立案・推進する専門の組織や体制を構築すべきです。デジタル戦略組織のトップには、CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)を据えます。   CDOと、そのスタッフであるデジタル戦略組織は、各事業部門の事業内容を理解しつつ、それぞれのデジタル戦略の方向性を合わせます。企業として重要なデジタル化のテーマに優先順位を付け、必要な投資や経営資源を割り当てます。
 
②組織の再設計 従来、多くの組織では、一般的に2つの機能区分で構成されてきました。1つは、経営管理機能・コーポレート機能を提供するバックオフィス。もう1つは、組織外部のクライアント・顧客などと直接的な関わりを持ち、窓口機能や営業機能を有するフロントオフィスです。   そこへ、フロントとバックの橋渡し的な役割を果たしつつ、組織の実態的な生産的活動の中核を成す機能であるミドルオフィスを加えた3つの機能区分で組織を再構成することにより、価値提供の生産性向上へとアップデートできます。   ミドルオフィス機能を加えた3機能の組織構成へとアップデートし、より生産的かつ戦略的な組織へと変革できるかどうかが企業の持続的な成長を左右するでしょう。
 
③組織の中における新しい機能 新しい組織への変革が求められる部門・機能として、「人事部門」が挙げられます。「人材という経営資源をどうマネジメントして事業戦略の達成をサポートしていくか」を考える「戦略的人事」を機能させましょう。
   
グループ経営システムの構築
  グループ経営とは何かを定義付けると、「複数の企業がグループとして活動することにより競争力を高める経営スタイル」です。単に分社化やM&Aで事業会社の数を増やすのは「分社経営」であり、「グループ経営」とは資本的なつながりだけでなく、グループ会社をコントロールするための経営システムの導入ができて初めて実現されます。  
①コーポレート機能をデザインする グループ経営を推し進めていく中で、コーポレート機能の構築は肝要です。コーポレート機能とは、一言でいえば効率的にグループ経営を行うための仕組みであり、大きくは次の3つに分類されます。  
■グループ理念:コーポレート機能の根幹
■コーポレートセンター(グループ経営インフラ):グループにおける未来創造機能や、ガバナンス機能
■シェアードサービス機能(共通オペレーションインフラ):各事業会社が持つ共通業務(経理や人事・情報システムなどの間接部門の業務)
 
②経営者を輩出する社長育成プログラム 自社のグループビジョン・ミッションの立ち位置を踏まえ、事業会社の成長戦略、組織・人材をマネジメントし、臨機応変な意思決定を行う決断力を持った「社長力」の高い経営メンバーの有無が、10年後のグループ経営の成否を決めると言っても過言ではありません。   経営者人材に求められることは何でしょうか。大別すると、儲かる事業・商品は何かを見抜く能力(開発感覚・ニーズ感覚)である「事業センス」と、販売・生産(仕入れ)・開発・財務・管理をバランスさせ、総合的に運営する能力である「経営センス」です。このセンスは正しいステップを踏むことで磨くことができます。予備知識がないままでは、困惑して期待する成果を得られないでしょう。   まず必要となるのは、何といっても「社長業とは何か」を押さえることです。その本質や、経営の原理原則などを押さえ、社長に求められる役割と責任を理解することから始めましょう。そして今後の戦略を構築していくためには、これまでの成長過程や成長要因を正しく把握しなければなりません。過去の成長の節目を押さえ、現在の企業に発展させた要因を押さえるとともに、過去の成長要因がこれからの成長要因になるのかどうかを検討し、いま何を変えなければならないのか、どんな段階にきているのかを押さえましょう。   そして、次のステップではマーケット分析により、外部環境をあらゆる切り口で見極めましょう。顧客ニーズの変化スピードは速く、多様化している現状において、マーケットがどうなっているかを知ることは欠かせません。自社の事業領域においてマーケットの変化はどうなのか、成長戦略を描けるかどうかなど、検討事項は多岐にわたり、それらを踏まえた上で、自社のビジネスモデルを高収益へと進化させていきましょう。