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コラム
レジリエンス戦略
「低成長×非連続×高速変化」という経営環境下で、自社をしなやかにアップデートしていくための「レジリエンス戦略」について提言します。
コラム 2022.09.30

vol.5 顧客創造力を向上させるブランディング&マーケティング

  Vol.5では、コロナ禍を踏まえた新時代のブランディングとマーケティングの手法、推進体制について詳述します。   ブランディングは「コーポレート」(企業)、「ビジネスモデル」(事業や製品、サービス)、「人材」(従業員)の3つを高めるべきブランド価値とし、その価値を顧客へ提供し続ける日常的な活動です。一方、マーケティングは、そのブランディング活動を基盤とし、顧客価値を最大化するための顧客創造のスキームを設計し、実行することです。    
未来の自社をブランディングする
  コロナショックにより社会や顧客の価値観が大きく変容している現在、自社を取り巻く環境を正しく認識して「未来の自社をブランディング」することが求められています。企業が高めるべきブランド価値のポイントは次の3つです。   ①コーポレートブランディング   コーポレートブランディングとは企業価値を高めるものであり、四大経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」と並び、第五の資源として位置付けられつつあります。会社ロゴや社名の変更、ホームページデザインなど、表面的・視覚的な活動はあくまで手段であって、本質的なブランディングではありません。企業全体の活動そのものにより、企業価値の向上に取り組む必要があります。   ②ビジネスモデルブランディング   ビジネスモデルブランディングとは、ビジネスモデル自体をブランディングしていくことで、企業価値を高める活動を指します。ビジネスモデルから生まれる商品・サービスだけではなく、そのビジネスモデルによって生み出される企業価値にその本質があります。   ③採用・人材ブランディング   コロナ禍により採用活動は大きく変化しました。「非接触型」の採用活動への切り替えが急速に進む中、会社説明会や面接だけでなく、求職者が情報を入手する場もリアルからオンラインへと変化しました。このようなオンライン化に伴い、求職者の情報の伝達手段と、採用におけるブランディングをアップデートをしていくことが求められます。        
BtoBにおけるマーケティングモデル
  企業存続の脅威の1つは、短期的な視点で考えれば競合他社です。しかしながら、中長期的な視点で捉えると、それは時代の環境変化であり、それによる生活者の消費行動の変化です。新型コロナウイルス感染症によってもたらされた環境変化によって、これまでの訪問営業、対面営業に代表される「リアルマーケティング」とは違った営業手法が必要とされています。   BtoBマーケティングのプロセスは、新規見込み客の獲得を目指す「リードジェネレーション(見込み客獲得)」、「リードナーチャリング(見込み客育成)」、「セールス(販売)」、既存顧客に対する「カスタマーサポート(顧客支援、顧客の成功)」といった、4つの段階に分けることができます。         重要なのは、プロセス全体のカスタマー・リレーション・マネジメント(CRM:顧客関係管理や顧客情報管理)を含めた、各マーケティングプロセスにおけるDXです。そのツールの1つとして、業務を効率化し、生産性を高められるマーケティングオートメーション(以降、MA)に注目が集まっています。MAとはこれまで手動で行われていたマーケティングにおいて、ルーティン業務や時間的コストのかかる作業を自動化する仕組みです。   MAを実施すると、リードジェネレーション(見込み客獲得)プロセスではターゲットへの効率的なプロモーションにより、営業担当者頼りだった新規開拓業務を自動化、効率化、平準化することができます。また、リードナーチャリング(見込み客の育成)プロセスにおいては、定期的に見込み客へメルマガを送付するなどし、安定した案件の創出に貢献できます。   その他、商談の履歴、製品の購入時期、納入台数、交換時期などの顧客情報を一元管理できるので、カスタマーサポート(顧客支援)や、カスタマーサクセス(顧客の成功)のプロセスも効率化することが可能です。既存顧客に対するフォローアップ、コミュニケーション増加による口コミ紹介の増加や、既存顧客からのリピート受注の増加といったLTV(顧客生涯価値)向上につながります。   BtoBデジタルマーケティングは、あくまでも手段であり目的ではないこと。デジタルとリアルの違いを認識して工夫をすること。スピードを意識し、スモールスタートで取り掛かること。これらに留意しながら推進しましょう。    
BtoCにおけるマーケティングモデル
  顧客はあふれる情報の中から、必要なものや関心があるものを探し出し、スマートフォンの操作1つで欲しいものや比較情報を手に入れます。そうした中、いかに顧客が求める価値を捉え、競合との違いを認識させるストーリーを組み立て、共感を広げていく仕組みをデザインできるかが、BtoCにおけるマーケティングモデルのポイントとなります。   特に、ECサイトや店舗・商品紹介のブランドサイトなどのウェブサイトは、デジタル活用の1つとして重視するべきでしょう。なぜなら、顧客はまずウェブサイトを検索し、商品・サービスの情報を確認してから購買するためです。ウェブサイトを重視して対応することが、売り上げと直結する意味でインパクトが高いと言えます。   ウェブサイトでは商品・店舗などの良さを伝えること、商品・店舗などの存在を知らせることが重要です。操作が簡単であることや、情報が一目で分かるなど、顧客が使いやすいサイトを構築し、ウェブ・デジタル広告やコンテンツマーケティング(顧客が要望しているコンテンツを継続的に発信してサイト上に積み上げることで、検索エンジンから集客を狙う手法)を用いてウェブサイトへの導線を設計しましょう。   これらの業務を行うには、社内におけるウェブ・デジタル体制の構築も必要になってきます。ウェブ・デジタルを統括できるCDO(最高デジタル責任者)を配置し、企画・営業・ウェブマーケティング・制作・システムとプロジェクトごとにチームを結成することで、ウェブサイトの取り組みが一貫した対応になるように心掛けましょう。    
ブランディング&マーケティング体制
  ブランドとは、顧客にとっての価値を定義し、約束し、長期的な信頼関係を構築するための全社活動です。長期的にブランド価値を維持・向上させるためには、正しくブランドを管理する必要があります。   ブランド価値を継続的かつ最大化に向けて管理していくためには、大きく2つのプロセスが必要です。1つ目は、ブランド体系の整備と統一という「ブランディングキュレーション」。2つ目は、その体系を維持・管理する仕組みづくりである「ブランドマネジメント」です。   ①ブランディングキュレーション   ブランディングキュレーションにおける最大のポイントは、ブランド体系の再整備です。特に複数の製品・サービスを展開する企業では、バラバラのブランディングが行われないよう統一した体系を整備することが重要になります。   ②ブランドマネジメント   ブランドマネジメントのポイントは3点あります。         ブランドマネジメントで最も大きな鍵を握るのが「ブランドマネジャー」ですが、専属の担当者を置けないため、他の業務との兼務者をブランドマネジャーに据える企業は珍しくありません。しかし、ブランディング戦略で失敗している企業を見ると、ブランドマネジャーが兼務者であるケースが散見されます。部門におけるマネジメントを機能させ、統一性のあるモノにするため、ブランドのマネジメントは掛け持ちでないことが望ましいでしょう。         デジタル化によるマーケティング体制構築のポイントは2点挙げられます。1点目は「リアルとデジタルの分業化」です。リアルとデジタルの分業化として、リアルでのマーケティング活動の価値を定義し、リアルである必要がない活動をデジタル化しましょう。   2点目は「フィールドセールスとインサイドセールスの分業化」です。ウィズコロナにおける自社のフィールドセールスの価値を再定義し、フィールドセールス(従来型の顧客へ訪問しセールス活動をする組織)とインサイドセールス(オフィス内でセールス活動をする組織)を分業化しましょう。   アップデートしたブランディング戦略やマーケティング戦略を推進していくためには、PDCAサイクルを回していく必要があります。コロナ禍により社会価値の変容が短期間で起きている環境下においては、アップデートする頻度を上げなければ、ブランディングやマーケティングも通用しないものとなってしまうことに留意しましょう。   今回は、ウィズコロナ時代のブランディング&マーケティングについて解説してきました。Vol.6では、サプライチェーンについて見ていきます。     ※本コラムはタナベ経営主催「2021年度経営戦略セミナー」テキストを抜粋・編集したものです。     2022年11月2日(水)~11月29日(火)開催の経営戦略セミナーについてはこちら