Vol.1に続き、レジリエンスカンパニーとなるための基本戦略について見ていきます。レジリエンスカンパニーになるための7つの条件のうち、残り2つの条件は「【DXモデル】アウトプットの最大化を目的としたDX戦略」「【サステナビリティ】SDGsを軸とした社会的価値の追求」です。
条件6.【DXモデル】アウトプットの最大化を目的としたDX戦略
DX戦略において目指すべきゴールは、「アウトプットの増大」(=顧客価値の増大化)です。
ビジネスDX:サービスのデジタル化
ビジネスモデル全体でDXを推進する際、最初に出てくる取り組みがバリューチェーンの省人化です。この取り組みでは顧客価値を上げることが必須です。デジタル技術を駆使した顧客価値拡大(=カスタマーサクセス)におけるポイントは、「顧客の『不』(不満・不便・不安)の解決」「顧客の個別課題・ニーズに合わせたカスタム化」の2つです。
マーケティングDX:顧客育成の最適化
マーケティングDXにおいて留意すべきことは、マーケティングそのものが「攻め」の機能であるため、「デジタルツールの導入=アウトプットの増大」だと錯覚を起こさないことです。
マーケティングにおける足し算的発想は、顧客育成の最適化です。顧客育成とは「獲得した潜在顧客(リード)を購買・成約までつなげること」、最適化とは「潜在顧客に対し、最適な情報を、最適なタイミングで提供すること」。単なるツール導入にとどまらず、提供する情報の価値向上やノウハウの蓄積が不可欠です。
バックオフィスDX:フロント業務の効率化
バックオフィスDXは近年、中堅・中小企業の間でも加速しています。「単純作業の自動化」という引き算的発想で終わらせず、フロント業務の生産性向上、戦略的分業によるフロントスタッフのコア業務時間増大などにつなげていきましょう。
ワークスタイルDX:パフォーマンスの最大化
テレワークやリモートワークに代表されるワークスタイルDXは、コロナショックを受けて最も加速したDXといえるでしょう。一方でセキュリティーやITインフラ、ペーパーレスなどの側面で課題を残し、対応しきれない企業が多かったことも事実です。また、ワークスタイルDXを通してパフォーマンスを最大化させなければ成功とはいえません。
ここまで、DX推進で目指すべき業務について「顧客価値の増大」という視点で解説してきました。事業・組織戦略から働き方に至るまで、全てを決定づける背景には「自社がどの部分で顧客価値を高めるか」が定められている必要があります。