‟働きたい”シニアはICT活用に意欲あり
「団塊の世代」が70歳を迎えようとしている昨今、労働者不足が深刻な社会的課題となっている。一方、今どきのシニア世代は「仕事に就きたい」意欲が旺盛だ。
JTB総合研究所、日経新シニアライフデザイン研究会の共同調査によると、今どきのシニアが幸せを感じるポイントは「衣食住(健康や暮らし)、行(移動や旅行、学び)、働(仕事、役割)」だそうだ。社会と接点を持ち、役割を果たしたい意識が強いという。
では一体、どれくらいのシニアが就労に意欲を持っているのだろうか。NTTドコモモバイル社会研究所が2017年1~2月に行った調査結果によると、60代、70代の男性は49.3%、女性は34.4%が現在就労している。
一方、仕事をしていないシニアに、今後仕事をしたいか聞いたところ、60代の約4割、70代の約2割が就業に意欲を見せた(【図表1】)。就業に意欲的なシニアは「時間的ゆとり」があり、いったんは現役を終えて余暇の時間を持ったものの、やはり何らかの仕事に就きたい気持ちが表れている。
また、就業に意欲を見せた人に、現在のICTサービスの利用状況を聞いたところ、就業意欲が高い人(特に60代)は、SNSや動画・音楽の視聴などを積極的に利用していることが分かった。(【図表2】)
シニアのスマートフォンやタブレットの利用は徐々に広がっている。MMD研究所「2017年シニアのスマートフォン利用に関する調査」によると、シニアのスマホ所有率は48.2%(前年比9.7ポイント増)、タブレット所有率は30.5%(同0.9ポイント増)に上る。
今後、シニアが企業の戦力として存分に活躍できる環境が整えば、ICTサービスに慣れ親しんでいる人ほど有利になる。何歳になっても、過去の経験に固執せず、新しいテクノロジーに明るいこと、幅広いネットワークを持ち、コミュニケーションを好む人材であり続けることが欠かせない。