その他 2017.05.31

特集1:働き方改革

2017年6月号

 

 

中小企業の「働き方改革」、
導入・実施率トップは「シニア層の活用」

 

政府は3月28日、同一労働同一賃金の導入や長時間労働の是正を柱とする「働き方改革実行計画」(2017~2026年度の10年間)をまとめた。罰則付きの残業上限(最大で月平均60時間・年720時間まで)や、前日の終業時間と翌日の始業時間の間に一定時間の休息を設ける「インターバル制度」の導入(努力義務)などが盛り込まれた。

 

企業は今後、フルスピード(最高速度)よりも「クルージングスピード(巡航速度)」で生産性を上げることが求められる。外国人・専業主婦・障がい者・高齢者などの雇用促進、ワーク・ライフ・バランスの確保、定時退社などの動きが活発化するものとみられる。

 

では、中小企業の働き方改革の取り組み状況はどうなっているのか。このほど商工中金が中小企業4828社に行った調査結果によると、働き方改革に対する取り組みとして、定年延長などの「シニア層の活用」(61.6%)が最も多い。また育児休業や短時間勤務などの「子育て世代の支援」、資格取得や通信教育の補助金など「自己啓発の支援」、「長時間労働の管理・抑制」などの導入実施率も高かった。(【図表】)

 

一方、「副業・兼業の容認」や「在宅勤務」「サテライトオフィス」を導入している企業は1割未満だった。副業・兼業は業務上の支障があると考える企業が多く、容認の動きが進んでいない。在宅勤務やサテライトオフィスは、たとえ導入しても適した職種や対象者がいないためと思われる。

 

これらは導入・実施による効果の測定が難しく、前向きになれない企業が多いようだ。だが、働き方改革へ積極的に取り組む中小企業には、新卒者が多く集まるというのが最近の傾向である。新卒採用を確保するという観点から、導入・運用に向けた取り組みを検討してはどうだろうか。

 

 

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