その他 2017.04.27

変わる残業の意識 残業時間推移から見えるもの

転職・就職クチコミサイト運営のヴォーカーズが発表した調査リポートによると、2016年の月平均残業時間は35時間となり、3年前の2013年に比べ11時間の減少となった(【図表1】)。調査結果は一般の現職社員(回答時)のクチコミを集計したもの。業界別に見ると、特に「広告代理店、PR、SP、デザイン」「コンサルティング、シンクタンク」「建築、土木、設備工事」が2013年比でそれぞれ20時間減、22時間減、29時間減と大幅に減少している。(【図表2】)

 

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背景には意識の変化がある。かつて称賛された“ モーレツ社員” はいまや時代遅れで、政府は「働き方改革」に向けてさまざまな施策を立ち上げ、長時間労働是正に乗り出している。

 

また、企業側も定時退社日の設定、帰宅時間の声掛けなどの「帰りやすい風土づくり」と、残業時間管理などの「管理体制の見直し」を通じ、過重労働の削減に取り組んでいる。具体策として、「退社時間に厳しく、若手は定時退社。役職付きも19時には完全退社」(証券会社・営業)、「ノー残業デー設定、月1回の有休取得推奨の効果が出ている」(システムサービス・専門職)、「残業時間が規定を超えると総務や上司に呼び出される」(証券会社・営業)などが挙げられた。

 

残業が減少すれば、生産性やワーク・ライフ・バランスの改善はもちろん、消費拡大にも直結する。2月には経済産業省や経団連、小売り、旅行など官民連携の協議会が旗振り役となり、「月末金曜は15時退社」を促すプレミアムフライデーが導入された。

 

15時に帰るかどうかは別として、こうした世の中の動きを好機と捉え、時間の使い方を見直してはどうか。昨今求められるイノベーションや新しいアイデアは、新たな出会いや人脈、今までとは異なる過ごし方から生まれるものである。