コラム
2017.04.27
特集1:JAPANブランド
2017年5月号
今後3年に「海外進出拡大」を図る企業が
4年ぶりに6割超える
日本貿易振興機構(以下、ジェトロ)は3月8日、「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2016年度)の結果を公表した。回答企業は海外ビジネスに関心が高い日本企業2995社。今回で15回目となる。
それによると、今後(3年程度)の輸出方針について「輸出の拡大をさらに図る」企業が70.1%に上り、前年(74.2%)から減少したものの高水準だった。「新たに取り組みたい」企業(11.8%)を合わせると、8割強(81.9%)の企業が輸出拡大に意欲を示した。
また「海外進出」(他国への拠点展開など)については、今後の方針として「拡大を図る」企業の割合が60.2%と前年(53.3%)から増加し、4年ぶりに6割を超えた。企業規模別に見ると、大企業(66.3%)が12年度以降続いた鈍化傾向から増加に転じたほか、中小企業(58.5%)は前年(50.5%)から大きく増加した。
進出拡大の理由としては、「海外での需要の増加」を指摘する企業が最も多く、回答割合は81.0%と4年連続で8割を超えた。一方、「取引先企業の海外進出」(26.9%)を指摘する企業は前年(36.0%)から大きく減少した。
すでに海外拠点を有し、今後さらに拡大を図ると答えた企業(992社)に対し、拡大を図る国・地域について聞いたところ(複数回答)、前年に続き「中国」(52.3%)、「タイ」(38.6%)、「ベトナム」(34.1%)などが上位を占めた(【図表】)。中国とタイは引き続き減少したが、ベトナムは2年連続で増加し3位に上昇した。
海外で拡大を図る機能としては、「販売」(86.0%)を強化方針に掲げる企業が大半を占めた。これを国・地域別に見ると、ベトナムが25.1%と前年の5位(22.2%)から4位に浮上した。ベトナムは「高付加価値品の生産」(3位)や「研究開発」(4位)、「物流」(3位)などの機能においても順位を上げた。
【図表】 海外で拡大を図る国・地域(上位15カ国・地域、複数回答)
2017年5月号
現地のマネジメント人材育成が課題
グローバルな人事基準・制度の確立がカギ
日本企業のグローバル化が進む中、現地人材、特にトップや管理職クラスといったマネジメント層の育成は、依然として大きな課題になっている。
日本在外企業協会のアンケートによると、海外現地法人における日本人社長比率は51%。海外現地法人社長の約半分は日本人である。
地域別に見ると、その他アジア(68%)、中国(67%)、中南米(55%)の順に日本人社長比率が高く、これらの地域で現地のマネジメント人材の育成が進んでいないことが分かる。
会員企業にグローバル経営を進展させるための経営課題を聞いたところ、「ローカル社員の育成」(73%)、「グローバルな人事・処遇制度の確立」(51%)、「本社とのコミュニケーション」(43%)、「経営理念の共有化」(26%)などの回答が多数。人材育成や人事・処遇制度の面で多くの企業が悩みを抱えている。
また、外国籍社長の起用に関して難しい点を尋ねると、「本社とのコミュニケーションが難しい」(55%)、「社内に優秀な外国籍人材がまだ育成されていない」(35%)、「自社の経営理念の共有が難しい」(25%)といった回答が続く。本社との連携、人材の育成と獲得、理念の浸透が高い壁となっている。(【図表】)
しかし、現地人社長の起用により現地社会へ深く入り込むことができれば、現地従業員のモチベーションアップや、優秀な人材の獲得につながる。こうした視点からも現地人材の育成、特に社長をはじめとする幹部への登用は欠かせない。
一方、実現のための課題も浮き彫りとなっている。「海外の外国人経営幹部のために、共通のグローバル人事基準や制度を導入しているか?」という問いに対し、「特になし」と回答した企業が断トツ(51%)。評価、報酬、福利厚生など処遇の設計をはじめ、グローバル人事機能をいかに構築できるかが、現地人材の育成や活躍につながる鍵となるだろう。
【図表】 外国籍社長の起用に関して難しい点(複数回答)