特集1:チームスピリット
2017年1月号
中・高・大卒の3年以内離職率は「643」
不況時の新入社員は離職が増える傾向
入社後3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職することを、その語呂合わせから「753(七五三)現象」と呼ばれている。この言葉は、内閣府の「平成19年版青少年白書」から一般に知られるようになった。
そのため、最近の学生の傾向のように思われているが、実際には20年以上前(1995年3月卒の3年以内離職率:中卒70%、高卒47%、大卒32%)から見られる現象である。ただ、753現象は2003年3月卒までで、それ以降は「643」の割合で推移している。
厚生労働省が2016年10月にまとめた新卒者(2013年3月卒)の卒業後3年以内離職率を見ると、中卒が63.7%(前年比1.6ポイント減)、高卒が40.9%(同0.9ポイント増)、大卒が31.9%(0.4ポイント減)となった。いずれも、バブル景気の頃(1987~91年)の水準並みに低い数値である。
このうち大卒の内訳は、初年度離職率が12.8%(0.3ポイント減)、2年目が10.0%(0.3ポイント減)、3年目が9.1%(0.2ポイント増)となっている。初年度離職率はこのところ低下する流れにあるが、3年目は逆に増加傾向が見られる。
3年以内離職率(大卒)を事業所の従業員規模別に見ると、最も高いのは「5人未満」の59.0%、次いで「5~29人」(49.9%)、「30~99人」(38.6%)と続き、最も低いのは「1000人以上」(23.6%)だった。従業員規模が大きくなるほど、離職率は低下する傾向にある。
また産業別(「その他」を除く、大卒)では、3年以内離職率が最も高いのは「宿泊業、飲食サービス業」(50.5%)。次いで「生活関連サービス業、娯楽業」(47.9%)、「教育、学習支援業」(47.3%)などと続き、サービス業が上位を占めた。
一方、大卒者について就職率と3年以内離職率の推移を比較すると、就職率が低いときに入社した新卒者は、3年以内に離職する割合が高まる傾向があった(【図表1】)。就職難により“不本意な就職”をした新卒者が多いことに加え、景気低迷時は企業側の従業員に対する扱いが雑になる(育成投資の縮小、希望退職者の募集など)ためとみられる。