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コラム 2024.05.01

足踏みするDX データドリブン経営への道のり長く 「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」リポート

 
コロナ禍でデジタルシフトが急速に進んだ。しかし、部分最適でDXを推進したために全社視点で見ると導入したツールや仕組みがうまく連携できていないケースは少なくないだろう。タナベコンサルティングは、全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者などを対象に実施したアンケート調査の結果(有効回答数:221件)を基に、2024年2月、「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」リポートをまとめた。今一度、全社視点でDXについて検討し、戦略へと落とし込んでいただきたい。
 
約3割が「DX進捗は全体的に不十分」と回答
  DXの進捗度に対する自社評価について、「全体的にまだ不十分」が30.3%と最も多かった。「全社的に高度に推進」が11.3%であることから見ても、企業のDX進捗はまだ低いと言える。一方で、「一部の“業務”でデジタル活用」「複数の“業務”でデジタル活用」が合計で46.6%と半数近くに迫っていることから、デジタル活用度は徐々に高まっていることが推察される。(【図表1】)   出所 : タナベコンサルティング主催「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」より作成     また、自社のDX戦略の推進状況については、「部門別のデジタル方針・施策で運用」と「デジタル施策は場当たり的」を合わせると半数近くを占めた。回答から、全社的なDX戦略の策定には至っていないことが分かる。また、「DX戦略はあるが推進度に課題がある」企業は19.0%と、「ビジョンとひも付いたDX戦略を推進できている」企業の15.4%より多い結果であったことから、DX戦略を実装・推進することの難しさが見てとれる。      
二極化するDX推進体制
  DXの推進体制については、「決まっていない」という回答が24.9%と最も多く、次いで「情報システム部門がDXを推進」が22.6%を占めた。一方で、DXの部門やプロジェクトを保有している企業の割合は合計で48.4%(「DX推進部門を保有(専任あり)」21.7%+「DX推進プロジェクトを組成」15.4%+「DX推進部門を保有(兼任中心)」11.3%)を占めており、DX専門機能を持つ企業と成り行きで推進している企業への二極化が進んでいるようだ。(【図表2】)   出所 : タナベコンサルティング主催「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」より作成   顧客データの管理レベルについては、「システム連携に課題。一部手作業が残る」が26.7%で最も多く、次いで「顧客データは表計算ソフトレベルで管理」が20.8%、「システムはあるがデータに不備(未入力など)」が18.1%という結果になった。   「システム連携し活用できている」企業が11.8%にとどまっていることからも、顧客データに関しては、システムの利活用レベルに課題を抱えている企業がいまだ多いことが分かる。    
全社視点でのDX推進が急務
  全社の情報資産(データ)の蓄積と活用については、「必要データが蓄積され経営判断に活用されている」との回答は全体の10.9%にとどまり、データドリブン(データに基づく判断や活動)経営には至っていない企業が多いことが分かる。   課題別では「必要データが効率的に収集できていない」が24.9%、「データ蓄積と活用の必要性の理解そのものが乏しい」が22.2%と相対的に高く、活用以前にデータの収集・蓄積・目的の理解が追い付いていない可能性を示唆している。(【図表3】)   出所 : タナベコンサルティング主催「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」より作成   全社業務の可視化、データ連携については、「業務プロセス、データ連携ともに中途半端で改善が必要」との回答が41.2%と、他の選択肢を引き離した。「業務プロセスそのものの見直しが必要」と回答した企業も16.3%に上っており、業務プロセスの属人化やブラックボックス化が、データ連携、システム連携の足かせになっている状況がうかがえる。(【図表4】)   出所 : タナベコンサルティング主催「2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査」より作成      
DXを成功させる3つのポイント
  今回の調査を踏まえると、今後DXを戦略的に推進していくためには次の3つのポイントが重要になるだろう。   1. ビジョンにDXを落とし込む 自社の中長期ビジョン・戦略にデジタル・DXを明確に落とし込むことが重要だ。部門別に業務レベルで改善するのではなく、全社レベルで企業価値・事業価値の向上に取り組み、どのような未来を実現するのか「中期DXロードマップ」をバックキャスト(ビジョン実現からの逆算)で描くことが望ましい。そうすることで、トランスフォーメーション(変革)に前向きなカルチャーも醸成されるだろう。   DXは単なるデジタル化ではなく、自社の新たな付加価値を創造する、いわば企業変革の取り組みである。そのため、直接・間接部門の中から全社横断的にメンバーを構成することを推奨する。   DX推進リーダーはIT・DX分野に明るいことに加え、戦略思考を有する人材が理想だ。推進メンバーは組織横断型で選抜し、専門機能についてはベンダーやコンサルティング会社など、自社のビジョンや戦略に共感する外部パートナーと良い関係を構築して、自社のDXを実現いただきたい。   2. 時流に即したマーケティング施策をタイムリーに展開する マーケティング活動は経済情勢、業界動向、消費者動向、そして法規制やライバルの動きによって日々変化する。気付くと日常業務に忙殺され、本来検討すべき「打った手の確認」や「データの解析」「新しい技術のインプット」が後れを取りがちだ。   重要度が大きく、緊急度が小さい「見落とし業務」はデータの「つなぎ目」で発生しやすいことから、MA(マーケティングオートメーション)ツールと営業支援システム、CRM(顧客関係管理)と外部環境データといったつなぎ目に担当者を配置し、時流に即したマーケティング施策をタイムリーに展開したい。ここが中期的なマーケティングの成否を分ける鍵になるだろう。   3. 業務可視化とアナログ視点を外さない データドリブン経営には、従業員がシステムにデータを即日入力する(あるいは自動的にデータが取り込まれる)仕組みが必要である。策定した構想や中期的なDXロードマップを用い、データドリブン経営を目指す目的と期待効果を示すとともに、従業員に求めるデジタルリテラシーの底上げと、DXカルチャーにつながる人材育成を推進していただきたい。   業務プロセスの可視化は、デジタル側だけでなくリアル側の業務改革の一助となり、改革推進スピードも上がる。一方で、デジタル化で効率化した業務に携わっていた従業員の「再活躍するフィールド」の設計なくしてDXの成功はあり得ない。   デジタル化構想で描いた「在るべき姿」に向け、まずは自社の経営リソースで実現可能なデジタル化から着手しよう。そして、アナログの業務改善とともに成果を出すことを念頭に置き、改革を推進していただきたい。   【調査概要】 調査名称 : 2023年度 デジタル経営に関するアンケート調査 調査主体 : タナベコンサルティング 調査手法 : インターネットによるアンケート調査 調査対象 : 全国の企業経営者、役員、経営幹部、部門責任者、デジタル担当者など221件(有効回答数) 調査期間 : 2023年11月6日~2023年11月24日