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メソッド2023.12.14

専門人材の確保と適切な予算配分で効果的なブランディング・マーケティング活動を
「2023年度ブランド&マーケティングアンケート」リポート

タナベコンサルティングは、全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者、ブランディング・マーケティング責任者や担当者などを対象に実施したアンケート調査の回答をもとに、2023年12月、「2023年度ブランド&マーケティングアンケート」リポートをまとめた。本稿では調査結果の一部を抜粋して紹介する。

 

専門人材の確保・育成と戦略策定に課題

 

ブランディングとマーケティング、それぞれにおける課題について最も回答が多かったのは「専門人材や部署・チームの不足」であり、全体の40%以上に及んだ。ブランディングでは、2位が「ブランドビジョン/コンセプトが設計できていない」3位が「ブランドのマネジメントができていない」だった。マーケティングでは、2位に「効果の可視化が難しい」、次いで「施策がマンネリ化している」「年間単位でのプロモーション計画が設計できていない」が続く。回答からはブランディング・マーケティングともに、専門人材の確保・育成ができていない企業が少なくないことが分かった。

 

ブランディング、マーケティングに関する課題ランキング

 

また、ブランディング・マーケティングの戦略策定の有無を尋ねたところ、ブランディングは60.7%、マーケティングは52.8%と半数以上の企業が「戦略策定を行っていない」と回答した。戦略を策定している企業でも「計画より成果・効果がでていない」と回答した企業はブランディングで43.8%、マーケティングで41.4%と4割を超え、少なからぬ企業で課題があることが浮き彫りとなった。

 

前期よりも今期、今期よりも来期に予算増加

 

ブランディングとマーケティングの予算の増減を聞いたところ、ブランディングでは前期より今期が「増加」「やや増加」が39.2%で、「減少」「やや減少」の13%を上回った。また、マーケティングでも「増加」「やや増加」が35.9%と、「減少」「やや減少」の11.9%を上回り、前期からの増加傾向がうかがえる。来期予算(見込み)でもブランディングやマーケティングの予算・投資枠は増加傾向だった。

 

ブランディング、マーケティング予算に関する変動

 

なお、ブランディング・マーケティングの予算について「1,000万円以上」の予算をかけていると回答したのは、ブランディングが20.8%に対して、マーケティングが36.6%とマーケティングへの投資が上回った。

 

ブランディング・PRが社内外に効果をもたらす

 

これまでのブランディングへの取り組み状況を聞いたところ「新商品や新サービスの開発、ローンチに伴うブランディングやPR」が27.0%と最も多く、次いで「会社の大きな変革に伴うブランディングやPR」が20.5%、「企業の周年」が18.9%、「商品やサービスの周年」が16.4%と続く。

 

これまでのブランディングへの取り組み状況

 

取り組みの効果については、「認知度が上がった」が38.5%、「社員のモチベーションが上がった」が26.2%と、ブランディングによって社外だけでなく、社内でも自社の価値が向上したことがうかがえる。一方で、「わからない」が32.0%と、効果測定が難しい取り組みである点も特筆したい。

 

ブランディングへの取り組みの結果

 

出稿している・したい媒体はオンラインが根強い人気

 

現在出稿している媒体としては、「オンライン(WEB)広告」が35.8%と最も多く、「新聞広告」が29.8%、「雑誌広告」が23.8%と続く結果となった。今後出稿してみたい媒体としても、「オンライン(WEB)広告」が35.8%と最も多い。

 

一方で、新聞や雑誌といった媒体に関しては今後の出稿意欲が低く、引き続きオンライン広告への関心の高さがうかがえる。また、消費活動や、人の往来がコロナ禍以前の水準に戻ってきたことにより、テレビ広告や交通広告への出稿意欲が高まっていることもうかがえる。

 

現在出稿している・出稿してみたい広告媒体

 

今回の調査から、今後ブランディングとマーケティングを戦略的に推進していくためには次の3つがポイントとなることが分かった。

 

1.ブランディング・マーケティングの専門人材の確保・採用

 

環境変化の予測が困難な時代の中でブランディング・マーケティングを推進していくには、より高度な知識、技術が求められる。専門的な知識を持った人材確保・採用やチームを組成することが急務である。

 

2.ブランドビジョン(コンセプト)を明確にして、ブランドに一貫性を持たせる

 

商品やサービスの価値訴求をするためには、ブランドを確立し、また、そのブランドを届けるためのPRが重要だ。伝えるべき価値を「ブランド」として表現し、戦略やビジョン・コンセプトを策定したい。

 

3.新商品・サービスの開発やローンチ、周年など、きっかけ・節目を活用

 

ブランディングに取り組んだ企業は、アウターブランディングの効果として約40%が認知度向上を実感し、インナーブランディングの効果としては約30%が社員のモチベーションアップを実感できている。新商品・サービスの開発やローンチのタイミング、社名変更、代表交代など、会社にとって重要なタイミングを活用して実施したい。

 

4.プロモーションのトレンドを把握して、予算を最適化

 

プロモーションのトレンドであるオンラインだけでなく、消費行動や人の往来がコロナ禍以前の水準に戻ったことに伴うテレビ広告や、交通広告への関心の高まりは見過ごせない。トレンドをいち早く取り入れ、より自社にとって効果の高いプロモーションに予算を配分することが重要である。


【調査概要】

調査名称 : 2023年度ブランド&マーケティングアンケート
調査主体 : 株式会社タナベコンサルティング
調査手法 : インターネットによるアンケート調査
調査対象 : 全国の企業経営者、役員、経営幹部、経営企画部責任者、ブランディング・マーケティング責任者や担当者など151件(有効回答数)
設問数  : 26問(顧客情報は除く)
調査期間 : 2023年9月25日~10月13日

「2023年度ブランド&マーケティングアンケートに関するアンケートREPORT」の全体版は、こちらから無料ダウンロードいただけます。

 

 

タナベコンサルティング ナンバーワンブランド研究会

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