社員・顧客から選ばれる物流会社へ
全ての企業や人にとって、なくてはならない基幹産業・物流業。近年のEC拡大に伴う取扱量の増加に加え、コロナ禍による「巣ごもり消費」も支えている。一方、増え過ぎた仕事量に対する働き手不足、「荷待ち」、「ラストワンマイル」など業界特有の業務効率の悪さ、それに伴う労働環境の悪化などが大きな課題となっている。
昨今の物流業界は、多忙にもかかわらず営業利益率が低い企業と、荷主と直接取引を行い、高い営業利益率を維持している(顧客から選ばれる)企業に二極化しているのが現状である。
顧客から選ばれる企業には就職希望者が集まり、事業で得た利益を人材に再投資して、新たな付加価値を生むという好循環も生まれている。このような企業に共通しているのは、①顧客価値に向き合ったビジネスモデルの構築、②DXの推進、③人材採用と育成への投資強化、④ブランディング投資、この4つを行っていることだ。
タナベコンサルティングでは、先進企業の視察・講義などを通じて、参加者が物流業界の最新動向を知ることのできる「物流経営研究会」で3つのテーマに取り組んでいる。
(1)ビジネスモデルの研究
物流業におけるサステナブルなビジネスモデルには4つのタイプがある。①物流6大機能(輸送・配送、保管、包装、荷役、流通加工、情報処理)の中で特定のサービスに特化した「サービス特化モデル」、②顧客業界のサプライチェーンを一貫して対応する「ドメイン特化モデル」、③「物流に付随するサービス」から「物流が付随するサービス」に対応する「+αモデル」、④自社で内製化した取り組みを外販する「本業拡大モデル」の4タイプだ。自社の現状を把握し、どのモデルと相性が良いのかを研究する必要がある。
(2)本質的な課題の発見
物流業は受注型産業であるため、自社単独の改善には限界がある。人材確保や定着率向上を目的とした年間休日の確保、残業時間削減のための業務の平準化や自動化、収益確保に向けた価格の見直し・付帯作業の有償化など、本質的な課題を見抜き、解決する必要がある。
(3)DX・デジタル化の取り組み
物流企業の現場には、企業ごとに最適化されたノウハウが多く含まれている。デジタル化による本質的な成果は「現場の見える化」である。サプライチェーンにおける「上流情報の見える化」、現場全体における「各個人の生産性の見える化」など、単にアナログの作業を自動化するという発想ではなく、「ノウハウ・生産性・コストを見える化」することが、企業価値の底上げにつながる。
物流が世の中を支えていることは、まぎれもない事実である。しかし、業界としての位置付けはまだ高くないのが現状だ。物流業界の課題解決に向けて取り組む企業事例から、持続的成長に向けた物流経営モデルを学び、自社の未来を描くヒントをつかもう。
2022年10月27日(木)~2023年7月28日(金)開催!申し込み受付中!
視察・講演にご協力いただいた物流経営モデル企業
シンバホールディングス株式会社:地域に求められ、時代とともに進化し続ける沖縄企業
https://www.tanabeconsulting.co.jp/t/blog/2022/minutes-log-20211028.html
株式会社ビーイングホールディングス:ビーイングホールディングスのデザイン経営~理念からサービスまで一貫している考え方~
https://www.tanabeconsulting.co.jp/t/blog/2022/minutes-log-20220310.html