パワハラとは?
「優位的な関係に基づき」「業務の適正な範囲を超えて」行われる、「身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること」という3つの要件を満たすものがパワーハラスメントです。職場のパワハラに該当する行為としては、以下の6つの類型が挙げられます。
法改正の背景と目的
厚生労働省が実施した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」※によると、過去3年以内にパワハラを受けたことがあると回答した人は32.5%に上りました。このような背景のもと、職場のパワハラの予防・解決を目的として、労働施策総合推進法が改正されました。※厚生労働省「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(2019年3月)
2022年改正のポイント
法改正における主なポイントは以下の通りです。
1.国、事業主および労働者の責務の明確化
2.パワーハラスメントの定義
3.雇用管理上の措置義務
4.労働者が事業主に相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益の取扱いの禁止
5.紛争解決援助・調停、措置義務等の履行確保
これまで規定のなかった職場におけるパワハラを初めて定義した点や、パワハラ防止の社内ルールや相談体制の整備など、雇用管理上必要な措置を講じることを義務付けた点が改正ポイントです。すでに大企業では法令が適用されていますが、2022年4月から中小企業も法令の対象となっています。
なお、全ての労働者が法令の対象であり、正社員に限らず、パートや契約社員などの非正規労働者や、派遣労働者も含まれます。
企業が取るべき対応
1.パワハラが生じない環境の整備
2.パワハラを相談した者に対する不利益の排除
3.パワハラ防止に関する従業員への周知や教育
4.事業主のパワハラ防止への理解と徹底
順守できなかった場合の罰則
労働施策総合推進法には、違反した場合の罰則がありません。しかし、厚生労働大臣が必要と判断する場合、企業に対して助言や指導、勧告するとされています。従わない場合は内容が公表され、企業の社会的信用が失われることにもつながりかねません。
大切なのは「予防」
まずは自社の方針の明確化や相談窓口の設置など、適切に対応するための体制を整え、教育・周知することをお勧めします。今回の法改正をきっかけに、パワハラを「防止する」のではなく「予防する」という考え方で働きやすい環境をつくり、従業員のパフォーマンスを高めて、顧客価値の創造につなげていきましょう。
参照先
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
https://keiyaku-watch.jp/media/hourei/smb-powerharassment
https://keiyaku-watch.jp/media/kisochishiki/powerharassment-teigi