特集1:課題マーケット
2016年2月号 2014年度の特養施設建設費、過去7年で最高水準 資材費・人件費の上昇がかさむ このほど独立行政法人福祉医療機構(WAM)がまとめた調査結果によると、2014年度の特別養護老人ホーム(以降、特養)の建設費が過去7年で最高水準に達したことが分かった。 それによると、14年度の特養施設建設費の平米単価(全国平均)は25.9万円となり、前年度から2.7万円増加(11.6%増)し、4年連続で上昇した(【図表1】)。このうち東日本大震災の復興需要で平米単価が突出していた東北3県(岩手・宮城・福島)は、前年度から横ばいの28.2万円と落ち着きをみせたものの、首都圏が28.6万円と3.4万円上昇し、東北3県と同水準になった。 WAMは平米単価の上昇要因として、消費税率8%引き上げの影響に加え、2020年の東京オリンピック開催を控えた首都圏の施設整備や人材不足による、資材費・人件費の上昇を挙げている。 一方、特養の定員1人当たり延べ床面積(全国平均)は、13年度の51.2m2から14年度は45.7m2(10.7%減)と減少した。減少率は7年間で最大だった。定員1人当たりの延べ床面積を小さくすることで、上昇する建設費を抑制しようとしたことがうかがえる。 ただ、定員1人当たりの建設単価は、前年度から36.9万円上昇(3.2%増)し、1198.4万円となった。平米単価の上昇を受けて延べ床面積を減らしたものの、単価上昇を吸収できず、定員1人当たりの建設単価も過去7年で最高水準に上昇した。 2015年4月の介護報酬改定は、改定率が過去2番目に大きな下げ幅(マイナス2.27%)となったため、収益が悪化した施設が多い。WAMが特養施設に行ったアンケート調査(有効回答数:1012)によると、同年4月以降のサービス活動収益が前年同期比で「減少」と回答した割合が約7割(68.8%)を占めた。基本報酬の減算を補うとして期待された介護職員処遇改善加算については、ほぼ全ての事業所が算定し、うち約9割が最も加算率の高い「Ⅰ」を算定していたが、事業者の65.5%は減収を「補えない」と回答している。 各施設はマイナス改定の対策として、水道光熱費や委託費、人件費の削減に取り組んでいるが、コスト抑制に限界があることから、施設の建て替え・改修工事を見送る動きも出ている。アンケート調査では、改定に伴い設備投資計画(建て替え・改修工事など)を見送った施設は約4割(36.9%)に上った。 特養の入居待機者は全国で50万人を超えるとされる(厚生労働省調べ)。各自治体では特養の建設推進に取り組んでいるものの、施設建設は厳しい状況にあるといえそうだ。
【図表1】特別養護老人ホームの建設費平米単価、定員1 人当たり延べ床面積
国内バイオ・ヘルスケアベンチャー企業数が600社を突破 再生医療関連の研究開発が活発に 矢野経済研究所がまとめた調査結果によると、2015年7月現在で国内におけるバイオ・ヘルスケアベンチャー企業数が607社となり、調査を開始した2004年(498社)から増加傾向にあることが分かった。(【図表2】)
【図表2】国内のバイオ・ヘルスケアベンチャー企業数の推移 同社は主に創薬や研究用試薬などの分野で、バイオやヘルスケアに関連した技術をもとに設立されたベンチャー企業を対象に集計した(2015年7月現在、1990年以前に設立された企業を除く)。現在、国内のバイオ・ヘルスケアベンチャーが有する技術は、大手製薬企業を中心に業務提携・技術導入の対象として関心が集まっている。 内訳を事業分野別にみると(上位6分野)、最も企業数が多いのは「創薬」の148社で全体の2割超(24.4%)を占めた。次いで「DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、たんぱく質の解析受託」の110社(18.1%)、「培養液・培地・研究用試薬」の88社(14.5%)などが続く(【図表3】)。これ以外にも環境関連やバイオインフォマティクス(生命情報工学)、再生医療など幅広い分野で企業参入がみられたという。
【図表3】事業分野別参入企業数 ( 2015 年7月現在、上位6 分野) 特に再生医療関連の研究開発については、iPS細胞のノーベル賞受賞(2012年)を機に「再生医療等安全性確保法」の施行、日本医療研究開発機構(AMED)の発足などが国を挙げて推進され、市場は活発化している。また近年は投資環境の改善を受け、関連ベンチャー企業の大手との提携や上場が続いており、ベンチャー企業の存在感が高まりつつある。同社は、再生医療製品が一般に普及するにはまだ時間を要するものの、「将来的には大きな市場を確立する」とみている。 現在、国内の大手製薬企業はベンチャーや大学を対象とした技術提携・技術公募プログラムを採用し、共同研究の動きを加速させている。これを受けて医学・薬学分野だけでなく、化学・工学分野の技術を有する企業の参入も進んでいる。国の後押しとマーケットの関心の高まりを背景に、バイオ・ヘルスケアベンチャーは事業展開の好機を迎えている。