物流ロボティクス市場、2030年度に8倍へ拡大予測
物流現場でのロボット導入が急速に拡大している。矢野経済研究所によると、2019年度の物流ロボティクス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比155.3%の131億4000万円に上る。同社は今後、2025年度に583億円、2030年度には1509億9000万円まで拡大すると予測している※。
【図表】物流ロボティクス市場規模の推移・予測
同調査は2020年4~8月、物流ロボットのメーカーや関連サービスを展開する事業者、ロボットを活用する事業者を対象に実施。自動倉庫などの荷物の入出庫、ピッキングのほか搬送や仕分けが対象となる。
労働集約型の物流業界では、人手不足が他の業界より深刻で、近年その課題が浮き彫りになっている。こうした窮状の一方、ECの普及が進み、注文商品の迅速な発送が「当たり前」のように求められる現状がある。それらの解決手段の1つとして注目を集めているのが、倉庫現場における物流ロボットの導入だ。
これまで、物流ロボットの役割は労働力不足を補うための無人化や省人化を促す意味合いが大きかったが、現在は3密を避ける感染症対策、BCP(事業継続計画)の観点でもニーズが高まっている。また、新型コロナウイルスの感染拡大で、人が集まることができずに倉庫内作業を行えなくなった場合も、物流ロボットは通常通り稼働することができるという強みを持つ。災害など有事の際にも対応できる物流倉庫は、顧客企業の信頼獲得にもつながると言えよう。
さらに、今回の調査には含まれないが、実証実験が進むラストワンマイルの配送を担う屋外での配達ロボットやドローンも、法改正が行われることで実際に稼働していく可能性が高い。こうした物流ロボットが加わることで、当該市場も伸長していくことは間違いないだろう。
※矢野経済研究所「2020年版 物流ロボティクス市場の現状と将来展望~ポスト・コロナはヒトとロボットの協働時代へ~」(2020年8月31日発刊、図表も)