•  
PICK UP TOPICSのメインビジュアル
コラム
PICK UP TOPICS
企業経営や市場(マーケット)について、話題の最新テーマを取り上げるコラムです。
コラム 2025.12.05

パーパス・MVVの見直し・策定が昨年比で大幅増加 「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」リポート

タナベコンサルティングは2025年7月、「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」の結果を発表した。本稿では調査結果の一部を抜粋して紹介する。


中堅・中小企業は「人手不足」、大企業は「AI市場の拡大」が経営に最も影響を与える


中堅企業および中小企業が「経営に最も影響を与える項目」として挙げたのは、「人口減少に伴う人手不足・採用難」(中堅企業40.3%、中小企業38.5%)だった。


一方、大企業は「AI市場の拡大と利活用」(19.2%)が「人手不足」(25.0%)に次いで高く、最先端技術の活用による競争力強化への関心がうかがえる。


中堅・中小企業は「社員の意識改革」、大企業は「経営ビジョンの策定と発信」を重視


トップマネジメント(経営層)として重視している役割についての設問では、中堅企業および中小企業は「社員の意識改革・人材育成」(中堅企業34.7%、中小企業37.2%)を最も多く挙げた。特に中小企業は約4割が選択していることから、組織の内側からの変革が求められていることが示唆される。


一方、大企業では「経営ビジョン・戦略の策定・発信」(38.5%)が最も高く、環境変化への先導的な対応が重視されていることがうかがえる。


大企業・中堅企業は約9割、中小企業は6割強が中期経営計画を策定


中期経営計画の策定状況では、大企業の92.3%、中堅企業の87.5%が「策定している」と回答した一方で、中小企業は62.8%にとどまり、4割近くが未策定との回答だった。


未策定の理由は「策定する組織・メンバーが社内に存在しない」が最多


中期経営計画を策定していない企業を対象に理由を尋ねたところ、「策定する組織・メンバーが社内に存在しない」が最多となった。


中小企業は「今まで策定したことがない」(25.9%)が大企業・中堅企業より相対的に多く、「どのように策定すればよいかわからない」(17.2%)も目立つ結果となった。中小企業は、体制の未整備と経験・ノウハウ不足が重なっている様子がうかがえる。


長期ビジョンの策定割合は、企業規模が小さくなるほど低下


長期ビジョンを「構築している」と回答した企業は、大企業が51.9%、中堅企業が36.1%、中小企業が19.2%と、規模が小さくなるほど構築率が低下する傾向が顕著だった。


長期ビジョンとは、将来の自社のありたい姿やなりたい姿を構想して言語化したものであり、通常は10年以上先の未来を対象とする。環境変化が激しい中では、中期経営計画や単年度計画は柔軟に見直す必要があるが、その変化に対応しながら中長期の戦略や投資をデザインするためには、長期ビジョンという不変の軸が求められる。


構築体制は大企業「経営企画部が中心」、中小企業「経営幹部や役員が中心」「代表取締役が単独で担う」


長期ビジョン・中期経営計画の構築体制について、大企業は「経営企画部中心」(30.0%)が中堅・中小企業の比率と比べて高く、専門部門を活用した体制が構築されていることが分かる。


一方、中小企業は「代表取締役が単独で担う体制」(12.6%)や「役員中心」(29.1%)が多く、少人数・属人的な体制が見受けられる。


パーパス・MVVの見直し・策定率は大幅上昇




長期ビジョンと併せて、パーパス・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定・見直しを「実施した」と回答した企業は57.8%であり、前回調査(2024年度調査)の38.8%から大きく増加。一方、「実施していない」との回答は26.6%で、前年の半数近くから2割台に減少した。


上場企業の実施率は75.7%と高く、非上場企業の48.6%を大きく上回っている。企業規模別では、大企業や中堅企業が6割を超える(大企業66.7%、中堅企業61.5%)一方、中小企業は43.3%にとどまっていることからも、実施・未実施が拮抗している状況が分かる。


今後の重点テーマは「収益改善・新事業開発」が最多


次期の長期ビジョン・中期経営計画の重点テーマとしては、「収益改善・新商品・新事業開発」(65.1%)が最多で、3年連続で6割超の企業が選択した。


上場区分別では、上場企業が「事業ポートフォリオ戦略」(41.6%)や「M&A戦略」(26.0%)を重視する一方、非上場企業は「人的資本経営・人材育成・採用」(45.1%)や「人事制度改革(働き方改革など)」(24.7%)が上場企業と比較して高く、人材・制度面への関心の高さが際立つ。


【調査概要】

調査方法: インターネットによる回答
調査期間: 2025年7月7日~7月25日
調査エリア: 全国
有効回答数: 352件



※本調査では、資本金基準ではなく従業員数基準を採用しており、大企業:従業員数2000人超、中堅企業:従業員数2000人以下(ただし中小企業者を除く)、中小企業:製造業その他:従業員数300人以下、卸売業:従業員数100人以下、サービス業:従業員数100人以下、小売業:従業員数50人以下としています。
※各図表の構成比(%)は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。


より詳細な調査結果と、タナベコンサルティングの提言を掲載した
「2025年度 長期ビジョン・中期経営計画に関する企業アンケート調査」の全体版は
こちらからダウンロードできます(無料)