特集1:人材ブランディング
~「ヒト」こそ競争力の源泉~
2015年11月号
2014年の入職率、前年比1.0ポイント増の17.3%と3年連続の上昇
2年連続の入職超過、離職率は3年連続の低下
このほど厚生労働省が発表した『雇用動向調査』によると、2014年の入職率は17.3%となり、前年に比べ1.0ポイント上昇した。一方、退職や解雇などによる離職率は15.5%と同0.1ポイント低下したため、1.8 ポイントの入職超過となった。入職超過は2年連続となる。(【図表1】参照)
入職率※1は、年初(1月1日時点)の常用労働者数に対し、その年に職に就いた人の割合を示す。景気が回復すると上昇する傾向がある。入職率の上昇は3年連続。17%台に達したのは、調査範囲を拡大した04 年以降で、05年(17.4%)に次ぐ2番目に高い水準となった。景気回復に伴って就職した人や転職した人が増えたためとみられる。
一方、離職率※2は3年ぶりに低下した。性別にみると、男性(13.2%)は前年から横ばいだったが、女性(18.5%)は前年に比べ0.2 ポイント下がった。結婚・出産・育児などを理由に退職する女性が減ったことが、全体の離職率を押し下げた要因となっている。
この結果、雇用の流動性を示す「延べ労働移動率」(入職率+離職率)は前年比0.9 ポイント増の32.8%となり、3年連続で上昇した。
入職率を産業別にみると、「宿泊・飲食サービス業」(39.0%)が最も高く、次いで「(他に分類されない)サービス業」(29.0%)、「生活関連サービス・娯楽業」(28.0 %)が続く。一方、離職率は宿泊・飲食サービス業(31.4%)、生活関連サービス・娯楽業(22.9%)、他に分類されないサービス業(22.3%)の順で、入職率が高い産業は離職率も高い。なお16産業のうち入職超過は12 産業で、前年(11 産業)を上回った。
雇用創出率/雇用消失率
前年末の雇用者数に対し、1年間で創出された(消失した)雇用者数の割合を示すもの。例えば、ある事業所で1年の間に1名が退職し、その欠員補充として1名を採用した場合、これらの数字は相殺され、創出(消失)雇用者数にはともに含まれない。
一方、『雇用動向調査』の入・離職者数は、企業間の労働移動をみるもので、この場合は入職者1名、離職者1名として計上される。雇用動向調査の結果からは雇用の増減が事業所新設による創出か、廃止による消失かが分からないため、厚生労働省が2011年より試算を行っている。
14年の雇用創出率(官公営を除く民営企業)は6.5%、雇用消失率は7.1%と、それぞれ前年比0.2ポイント増、0.6ポイント増となった(【図表2】参照)。従業員規模別にみると、創出・消失率ともに「5~29人」が最も高い(創出率7.7%、消失率7.2%)。