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コラム 2018.04.27

“情報端末化”する自販機、“自販機化”に向かうコンビニ

201805_slide_t1 2018年5月号


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矢野経済研究所はこのほど、自動販売機(以降、自販機)の国内普及台数の見通しをまとめた。それによると、2017年末時点の普及台数は489.2万台(前年比1.0%減)、18年は484.3万台(同)となり、5年連続で減少すると予測した。(【図表1】) 日本の自販機は近年、急増する訪日外国人観光客の間で人気を呼んでおり、大手飲料メーカーを中心に多言語表示やスマートフォン対応の新機種設置が増えているとされる。だが、そうした外国人の盛り上がりとは裏腹に、国内設置台数はマイナス基調が続いている。 自販機や両替機などのメーカーで構成する業界団体「日本自動販売システム機械工業会」の調べによると、2016年の普及台数は前年末に比べ1.2%減の494.1万台と、大台の500万台を割り込んだ。また、自販機で販売された商品・サービスの年間売上金額(以降、自販金額)も、3.0%減の4兆7360億円と過去10年で最低の水準だった。 とはいえ、これは同年における家電量販店(4兆3115億円)やホームセンター(3兆2941億円)の年間売上高を上回る規模(経済産業省「商業動態統計」)であり、依然として有力チャネルであることには変わりない。 16年末の普及台数を機種別に見ると、最も台数が多い「飲料自販機」が247.5万台(前年比2.9%減)、両替機や精算機などの「自動サービス機」が129.3万台(2.4%増)、「日用品雑貨自販機」が86.1万台(横ばい)、「たばこ自販機」が19.3万台(9.0%減)、乗車券や食券・入場券などの「券類自販機」が5万台(5.0%増)などとなっている。(【図表2】) 201805_01_market01_02 飲料自販機の減少要因は、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーや低価格自販機との競合を受け、飲料メーカーが設置台数増から1台当たりの販売効率向上に方針を転換し、不採算機の撤去を進めていることが背景にある。逆に券類自販機は飲食チェーン店を中心に食券機の導入が進み、全体では増加した。 近年、自販機メーカーは公衆無線LAN(Wi-Fiルーター)やタブレット型ディスプレー、スマートフォン・電子マネー決済機能などを搭載し、ビーコン(電波受発信器)を持つ子どもや高齢者の位置を家族に知らせる「見守りサービス」や、動画コンテンツ・地域情報の配信などコミュニケーションサービスを付加するなど、自販機の“情報端末化”を進めている。社会インフラ機能を持たせることで、存在意義を見いだしたい考えだ。

201805_slide_t1 2018年5月号 一方、自販機の設置場所が飽和状態にある中で、コンビニがオフィス・工場などへのインドア設置を強化している。ファミリーマートは飲料やおにぎり・サンドイッチ、菓子などを販売する「自販機コンビニ」の設置台数を増やしているほか、セブン‐イレブン・ジャパンもおにぎりやパンなどを販売する「セブン自販機」のテスト設置を東京都内で開始し、17年度中に100台設置する予定という。 コンビニが自販機設置を強化しているのは、店舗を出店するには至らないものの、一定のニーズが見込める「マイクロ・マーケット」(極小商圏)を、人手をかけずに取り込むことが狙いだ。これは、オーバーストアと人手不足が背景にある。 コンビニ主要8社の合計店舗数は5万5322店(2017年12月末時点)。日本の総人口で割ったコンビニ1店当たりの人口は約2300人となり、コンビニの標準的な商圏人口といわれる3000人を割り込む。コンビニは明らかに飽和状態に陥っている。さらに、コンビニは人手不足が深刻だ。今後は、半径350~500mの狭小商圏に有人店舗を展開する従来の競争から、オフィスビルや工場、物流センター、学校、待合室、食堂などの極小商圏に無人自販機を設置する競争が激しさを増すかもしれない。 東京商工リサーチの調べによると、2017年(1~12月)に発生したコンビニ倒産件数が51件(前年比24.4%増)となり、5年連続で前年を上回った。これは同社が調査を始めた2002年以降、最多の53件(2003年)に迫る過去2番目の水準である。(【図表3】) 201805_01_market01_03 同社によると、コンビニの倒産件数は2012年まで3年連続で減少していたが、コンビニ各社が出店攻勢を強めて競争が激化した2013年を境に増加へ転じたという。 また、オーバーストアによる競合激化に加え、人手不足による従業員確保と人件費上昇も追い打ちをかけ、業績不振に陥る店舗が増加している。このため、休廃業・解散に至るFC(フランチャイズチェーン)オーナー企業も増えている。2017年のコンビニ休廃業・解散件数は155件(前年比7.6%増)と過去最多を記録した。倒産との合計件数は2011年から7年連続で前年を上回り、2017年(206件)は初めて200件台に乗せた。 これまで右肩上がりで成長を続けてきたコンビニ業界だが、地域内競合の激化と人手不足によって厳しい局面を迎えている。大手チェーンの間では人手不足を背景に24時間営業を見直す動きも出ており、従来からのビジネスモデルを転換する潮目に差し掛かっているともいえそうだ。