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コラム 2018.03.30

特集1:ファミリービジネス

2018年4月号     創業100年超の長寿企業数、3万4394社 約10年間で1.6倍に増加     「百年一瞬耳」(百年の時は一瞬にすぎない)。幕末の思想家・吉田松陰がしたためた漢詩(「立志尚特異」)の一節である。とはいえ、歴史上の100年は一瞬でも、“平均寿命30年”の企業からすれば、気の遠くなる時間に違いない。   近年、創業年から100年以上が経過した“長寿企業”の数が増加しているという。東京商工リサーチが実施した調査結果によると、2018年に創業100年超となる企業数(年内に100周年を迎える企業も含む)は全国で3万4394社となり、前回調査(2012年8月)に比べ約7000社増加した。また、前々回調査(2009年9月)との比較では約1万3000社増加した。約10年間で長寿企業が1.6倍に増えたことになる。(【図表1】)   これは長寿企業に仲間入りする「創業100周年」を迎える企業が年々増加していることが背景にある。100周年企業数の推移を見ると、2011年時点で100周年の節目を迎えた企業数は571社にすぎなかったが、2012年に急増し、16年には2162社と11年時の3倍強に達した。翌年は半減したものの1000社を上回り、18年に再び増加した(【図表2】)。12年以降に増加した要因は、大正改元(1912年)や第1次世界大戦(1914~18年)の“大戦景気”を機に創業した企業が多かったためとみられる。     201804_01_market01_01     長寿企業の業歴ランキングを見ると(宗教法人を除く)、最も創業年が古かったのは社寺建築工事の金剛組(大阪府)。578年創業と、聖徳太子の遣隋使派遣(607年)や、ムハンマドのイスラム開教(610年)よりもさらに古い。同社は飛鳥時代の四天王寺建立にも立ち会ったとされる。   次いで、華道「池坊」の一般財団法人池坊華道会(京都府、587年創業)、武田信玄や徳川家康も訪れたと伝えられる温泉旅館の西山温泉慶雲館(山梨県、705年創業)などが続く。業歴1000年以上を誇る超長寿企業は7社だった。(【図表3】)     201804_01_market01_02     なお、2018年に創業50周年を迎える企業数は2万9676社となり、前年に比べ6162社増加した。50周年企業も例年増加を続けており、仮にそのうち3割が存続し、かつ現在の100年超企業が経営を維持したとすると、単純計算では50年後に長寿企業数が30万~50万社規模へ達することが想定される。   一方、財務省の研究機関「財務総合政策研究所」が公表した推計によると、日本の総企業数は今後、創業減少・廃業増加が進み、2015年の約402.5万社から、2040年には約295.6万社と300万社を割り込む見通しだ。(【図表4】)     201804_01_market01_03     現在、総企業数に占める長寿企業数の割合は1%にも満たないが、今後は総企業数が減少する半面、長寿企業数は当面増加を続けるとみられるため、将来的に日本企業の老舗率は2桁台まで上昇する可能性もある。       2018年4月号     高齢経営者(70代)の4割超が 「事業承継」未着手   組織は戦略に従い、戦略は理念に従い、理念は組織で経営されて成果となる。つまり、志の連続性が会社の寿命を決める。そして100年経営は、経営理念の継承者である「次代を担えるトップ」を何人つくることができるかで決まる。事業承継こそ最大の事業戦略であり、これほど重要な経営技術はない。   帝国データバンクの「事業承継に関する企業の意識調査」(2017年)によると、事業承継に対し「経営上の問題のひとつと認識している」と答えた企業が57.5%と半数超を占めた。「最優先の経営上の問題と認識している」(13.6%)を合わせ、約7割の企業が事業承継を経営問題として捉えていることが分かる。(【図表1】)     201804_01_market01_01     ただ、実際に事業承継を進めるには課題も多いようだ。事業承継計画の有無を聞いたところ、「計画があり、進めている」と答えた企業は22.9%にとどまり、「計画はあるが、まだ進めていない」「計画はない」という“未着手”企業が合わせて50.4%と過半数に達していた。   それぞれの割合を経営問題の認識度別に見たところ、「(承継は)最優先の問題」と捉える企業は約半数(47.0%)が計画を進めていたが、「問題のひとつ」と捉える企業は25.5%と4分の1にとどまり、未着手の回答(計画を進めていない+計画はない)が56.1%と半数を超えていた。   また、承継計画の有無を社長の年齢別に見ると、社長の年齢が上がるにつれ、計画を持って進めている企業の割合が高まる傾向にあった。だが、平均的な社長引退年齢とされる「70代」の企業でも3社に1社の割合(36.2%)にとどまり、未着手の割合(44.0%)が上回っていた。(【図表2】)   「計画はあるが、まだ進めていない」「計画はない」理由としては、「まだ事業を譲る予定がない」が35.8%と最も高い(複数回答)。次いで「後継者が決まっていない」(35.2%)、「自社には不要(必要性を感じない)」(18.3%)、「事業の将来性に不安がある」(16.9%)などが続いた。(【図表3】)     201804_01_market01_02     一方「すでに事業承継を終えている」と回答した企業に、承継による業績への影響を尋ねたところ、承継した翌年度に「プラスの影響があった」企業は26.0%、「影響はなかった」企業が55.9%と半数超だった。さらに、5年後では「プラスの影響があった」が30.8%に上昇。時間の経過とともに、承継の効果が表れているといえる。   円滑な事業承継のために必要なこととしては、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が60.4%で最も高い(複数回答)。以下、「早期・計画的な事業承継の準備」(46.3%)、「経営状況・課題を正しく認識」(45.7%)、「早めに後継者を決定」(42.7%)が続いた。