特集1:デジタル・ビジネス時代の到来
2018年2月号
シェアリングエコノミー市場規模、
2017年度は前年度比26.4%増
矢野経済研究所はこのほど、「シェアリングエコノミー(共有経済)」の国内市場規模に関する調査結果をまとめた。それによると、2017年度の国内市場規模は前年度比26.4%増の636億4000万円と大きく伸びたことが分かった。
シェアリングエコノミーとは、不特定多数の人々がインターネットを介し、自動車や空きスペース、中古物品、スキルやお金などを共有する場(プラットフォーム)を提供するサービス。同調査では、サービス提供事業者のマッチング手数料や販売手数料、月会費、その他のサービス収入を含む売上高ベースで市場規模を算出した。
同市場は2016年度、旅館業法施行令の一部緩和に伴い「民泊」への参入事業者が増加。また、「シェアリングエコノミー協会」の設立(2016年1月)でシェアリングサービスの認知度が高まったことから、市場規模が26.6%増の約503億円に急拡大した。
今後の見通しについては、18年度が18.2%増の752億2000万円、2021年度には1070億9000万円と1000億円の大台を突破し、16年度から5年間で市場規模が2倍超に膨らむと同社は予測している。ただ、成長率(前年比増減率)は次第に鈍化していく見込みだ。(【図表1】)
18年6月施行の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」で180日の営業日数制限が設定されるため、採算難を理由にオーナーが民泊サイトへの物件掲載を取りやめるなどして、「既存民泊物件の供給数が一時的に減少する」(矢野経済研究所)ことが想定されている。ただ、施行後は合法的にサービスを提供しやすくなり、大手企業の参入が増えるとみられることから、民泊全体の物件供給数は増加を続けるとしている。
また、ラグビーワールドカップ(2019年)や東京オリンピック・パラリンピック(2020年)の開催で訪日外国人旅行客が増加するため、民泊やオンライン駐車場予約サービス、ライドシェアなどの利用が増えていくという。この他、株式投資型クラウドファンディング(非上場株の公募をネット上で行い、多くの投資家から少額ずつ資金を集める仕組み)やソーシャルレンディング(インターネット上でお金を貸したい人と借りたい人を結び付ける融資仲介サービス)など資金調達方法の多様化を受け、個人やベンチャー企業によるお金のシェアリングサービス利用も増加することが見込まれている。