その他 2023.10.02

タナベコンサルティング講義「システムデザイン」セッション:盛田 恵介、西村 直人、古田 勝久

組織を支える制度とHRDX

タナベコンサルティング
HR エグゼクティブパートナー
盛田 恵介(もりた けいすけ)
セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。人づくりをデザインする総合プロデューサーとして、企業の人事・教育制度構築から運用に至るまでトータルでサポート。特に、さまざまな業種・業態の企業内大学(社内アカデミー)設立に実績を有し、社員の成長を促すプログラム開発でクライアントから高い評価を受けている。

 

人的資本経営を実現するHRDXによるデータ活用の取り組みについて解説します。HRテクノロジーの活用とは、「感覚的な能力」からの脱却と人的資本経営の推進といえます。

 

これまで人事・教育分野では、人材とスキル、各種判断を感覚的な能力と解釈する時代が続いてきました。そのため、判断を伴う高度な業務はその人独自のノウハウとなり、閉鎖的に運用されてきました。しかし、人的資本経営を推進する上では、HRテクノロジーの活用を通じた「HRデータの可視化」が不可欠です。

 

HRDXに向けた取り組みは、①経営戦略・人事戦略との連動、②中期的な人材開発投資、③経営トップの参画、この3つがポイントです。HRDXに向けたステップに関しては、人事管理部門は時間軸が長く、業務ごとの特性も異なるため、全てのプロセスで一気にDXを進めるのは現実的ではありません。入り口の「採用管理」、人的資本経営の要となる「能力開発」、定期的に実施する「人事評価」からDXを進めるのが有効でしょう。

 

次に、人的資本の最大化に向けた能力開発について解説します。企業は成長とともに組織の細分化が進み、職務と社員の専門性が強く結び付きます。今後は、社員が自ら専門性を追求し、キャリア実現に向けて学べる仕組みを導入していかなければなりません。タナベコンサルティングは企業内大学(社内アカデミー)を提唱し、全国160以上の企業に導入支援を行っています。

 

最後に、新時代に向けた学ぶ環境、内容、手法のデザインについて解説します。組織が細分化して多様な人材が増えていく状況では、多様な人材に対応する人材育成システムへのバージョンアップを図る必要があります。そのキーワードになるのが、HRDXの1つであるLXP(ラーニング・エクスペリエンス・プラットフォーム)です。

 

LXPはLMS(ラーニング・マネジメント・システム)の進化形で、「個別最適化」「社員同士のコミュニケーション・学習意欲の向上」というメリットがあります。

 

それに加えて学ぶ内容の見直しも必要です。タナベコンサルティングが支援する企業内大学「FCC(ファーストコールカンパニー)アカデミー」の閲覧状況を分析すると、ログイン回数の多い企業の共通点として、①自社の成功事例・ノウハウなどが盛り込まれている、②楽しさ・ユーモアなどの一工夫がある、③社員の共感を得るインナーブランディング、この3つが挙がりました。各社ともさまざまな工夫を施しながら閲覧率の向上に取り組んでいます。

 

さらに体験・可視化をキーワードにした学習手法の設計も必要になります。今後は体験を通じていかに社員の共感や気付きを得られるかが重要です。タナベコンサルティングは、企業経営を体験できるビジネスシミュレーションゲーム「MX(マネジメント・エクスペリエンス・オンライン)」を開発しました。次なる時代の学習方法の1つとして、導入をご検討ください。