パーパス実現に向けた熱量のある組織づくり:浜西 健太
パーパス実現に向けた熱量のある組織づくり
組織と個人、会社と社員の関係性は、大きな転換期を迎えています。これまでは、上下関係や立場重視による統制力の最大化によってベクトルが統一されやすい半面、“自覚なく考えない社員”を生み出してきました。これからは「並列的×一体的」関係で、どんな役割を能動的に果たすかを重視し、自発性にフォーカスする関係性へとシフトしていきます。
選択肢を広げる「働き方改革」、ウェルビーイング、パーパス経営、人的資本経営など、人を中心とする経営の追求・実現には、「並列的×一体的」関係によるSense of Ownershipの考え方が、極めて重要になります。
これは、単なる「対等」という意味ではなく、同じ思いや姿勢、熱量で、全社員が覚悟や信念、当事者意識を持って各組織に貢献し、独自性や創造性のシナジーを何倍にも高め、理想と現実をつなげるために向き合う世界観です。そして、それをひも解く鍵として「エンゲージメント」に注目が集まっています。
人事領域におけるエンゲージメントは、組織と個人のつながりで育まれる「自発的な関係性」を指します。自発的に役割を発揮し貢献する意欲をスコアリングするアセスメントツールが「エンゲージメントサーベイ」です。スコアが高いほど良い組織であることを示しています。主な構成要素は、やりがいや熱意の「仕事エンゲージメント」と、パーパスや心理的安全性の「組織エンゲージメント」です。前者が高く後者が低い場合は「この会社で働く意味は何か」を問いかける黄色信号で、対策が必要となるでしょう。
タナベコンサルティングは、エンゲージメントとパフォーマンスの相関性を示す独自のロジック(方程式)を「エンゲージメント(愛着・熱量・信頼)×パフォーマンス(成果)」として定義しています。この指標が全社や各部門単位のエンゲージメント状態を可視化する、人的資本経営のファーストステップです。
エンゲージメントは「カルチャー(意識的・継続的に全社員で育まれた価値観や組織文化)+仕事エンゲージメント+組織エンゲージメント」の3軸で構成しています。またパフォーマンスは、収益や財務指標以外に、最近は人事KPI(人事に関する重要業績評価指標)の数値も重視されています。
カルチャーは「パーパスへのコミット」「カルチャーのアップデート」「コレクティブウェルビーイング」、仕事エンゲージメントは「エンパワーメント」「ジョブクラフティング」、組織エンゲージメントは「トータルリワード」「マネジメントスタイル変革」といった独自のアプローチが必要です。
Sense of Ownershipをキーワードに、自社のエンゲージメント向上にしっかりと向き合いましょう。
「誰もが幸せに働ける会社を生涯かけて追求する」をポリシーに、組織・人事に関するプロフェッショナルとして多くのコンサルティングを展開。特に、経営者へのコーチングが高い評価を得ている。クライアントのステージに合わせた人事制度設計および組織開発を通して、エンゲージメント向上と売上倍増へと導いた実績多数。