その他 2021.10.01

オプティム
ネットを空気に変えるビジネスDXをサポートするIoTプラットフォーム

空気のようにネットを使いこなす環境づくり

 

タナベ経営・阿部(以降、阿部) オプティムの会社概要についてご紹介ください。

 

休坂 オプティムは、代表取締役社長の菅谷俊二が佐賀大学農学部在籍中に立ち上げたソフトウエア開発企業で、2015年に東証1部へ上場しました。当社の佐賀本店は佐賀大学の校内にあり、産学が連携して新しいイノベーションを生んでいく開発拠点になっています。

 

当社の掲げるコンセプトは「ネットを空気に変える」。全ての人がITリテラシーを全く意識することなくインターネットを使いこなせる環境を目指しています。

 

躍進のきっかけになったのが、AIが自動でインターネット接続を行う「自動セットアップサービス」です。NTTフレッツ光のサービスに接続する際、当社が開発したCD-ROMを使うとユーザーが番号を打ち込むだけでインターネットに接続できるようになり、インターネットが普及する一助になりました。また、パソコンやスマホの使い方・楽しみ方をコールセンターからスムーズにサポートできる「リモートサポートサービス」は、利用者数が国内トップになるほどの好評を得ました。

 

さらに、スマホやタブレットのビジネスシーンでの活用が増え、紛失盗難対策や不正利用防止などのニーズが高まることにいち早く対応し、さまざまなOSを搭載したネットワークデバイスを一元管理できる法人向けIoTプラットフォームサービス「Optimal Biz(オプティマルビズ)」を提供。国内シェア42.3%(2019年度)という圧倒的な導入実績を上げています。

 

 

 

「◯◯×IT」戦略を推進

 

阿部 AIやIoTに取り組んだきっかけについてお聞かせいただけますか。

 

休坂 日本の産業課題は、人口減少とそれに伴う労働人口の減少に起因しています。それに対し「労働人口減少課題をAIで解決したい(緩和させたい)」という考えから、AI、IoTに取り組むようになりました。その実現に向けて、各産業とITを組み合わせる「◯◯×IT」戦略の推進に全力で取り組んでいます。

 

阿部 企業のDX実現に求められること、実現のためのポイントとは何でしょうか。

 

休坂 例えば、「農業×IT」を実践する「スマートアグリプロジェクト」では、「AI・IoT・Robotを使って“楽しく、かっこよく、稼げる農業”を実現する」を掛け声に、コメの栽培から加工・販売までを一気通貫する消費者・生産者ファーストのビジネスモデルを確立。さらに、農業・食品産業全体の効率化と付加価値向上を目指した独創的なDXサービスを開発しました。

 

これによって、無償提供した農機具やテクノロジーを使って育成・収穫した農作物を当社が全量買い取り、食品市場全体へ販売して得た収益を生産者と当社でレベニューシェア(売り上げをあらかじめ設定した割合で分配)する革新的なビジネススタイルを実現させました。

 

「建設・土木×IT」にも取り組んでいます。例えば、建設IoTプラットフォームを提供するランドログ(東京都港区)を通じて当社のクラウドOSを提供し、ショベルカーやダンプカー、ドローンなどに搭載したデバイスの管理・解析を実施。さらに、九州最大級のゼネコンと「iPhone」を使った3D測量サービス「OPTiM Geo Scan」の共同開発も行っています。

 

このような経験から、DXサービスの実現に向けたポイントとして次の3点が挙げられます。

 

❶方向性を間違えない

 

「5年後の自社に新たなDX技術の登場が必要となるか」「必要とならない場合の理由は何か」を熟考する

 

❷変化の波に乗る

 

変化はそれを利用しようと思う者にとっては好機となり、それを無視・傍観しようとする者にとっては危機となる

 

❸小さく始めて成功モデルを描く

 

PoC(概念実証)後の成功モデルを検証できるか否かがポイント

 

 

 

インダストリアルDXとコーポレートDXで次代へ

 

阿部 AI、IoT活用による将来展望についてお聞かせください。

 

休坂 当社が考えるDXは「インダストリアルDX」と「コーポレートDX」に分類されます。インダストリアルDXは事業創造のためのデジタル化で個別産業が対象、コーポレートDXは社内業務の改善・効率化のためのデジタル化で全業種・産業が対象です。両方のDXに共通する技術基盤の中で、当社が競争優位性を持つために必要なものをAI・IoT・ロボット・クラウド・サブスクリプション・シェアリング・セキュリティーと定義し、アプローチを行っています。

 

コーポレートDXに関しては、コロナ禍においてリモートワーク、業務の効率化、コスト削減などのニーズが急拡大しました。こうしたニーズに対し、付加価値の高いコーポレートDXサービスを次々投入し、さらなる顧客拡大を図ります。インダストリアルDXにおいては、各産業にIoTやAIカメラ、3D測量サービスなどの革新的なキラーサービスを提供し、ビジネスの変革を目指します。

 

社会の変化、顧客の変化、ITの進化が大きなうねりとなって、第4次産業革命が始まっています。これによってAIネーティブなソフト・ハードが台頭する時代になり、「ものの作り方」「サービスの届け方」に変革が起こり、全ての産業の在り方が一変するでしょう。

 

オプティムは皆さんと新しいビジネスを協創する「◯◯×IT」戦略を推進し、少子高齢化・労働力不足に直面している日本でプロトタイプを創出して世界に届けていきます。

 

 

休坂 健志(きゅうさか たけし)氏
オプティム 取締役

 

 

 

PROFILE

  • (株)オプティム
  • 2000年設立のソフトウエア開発を手掛けるベンチャー企業。代表・菅谷俊二氏が佐賀大学農学部在籍中に設立。2015年東証1部上場。総スタッフ数は585名、うち7割がエンジニア。平均年齢は32.8歳。東京本社のほか、佐賀、福岡、神戸に拠点を持つ。特に佐賀本店(OPTiM SAGA)は佐賀大学構内にあり、大学教授との共同開発や、オプティム社員による授業提供など、産学連携によるイノベーション開発拠点として活用されている。

 

 

Interviewer

阿部 和也(あべ かずや)
タナベ経営
北海道支社長