──ONEプラットフォーム
「実装(implementation)」とは、「装置を構成する部品を実際に取り付ける作業。コンピューターのハードウエアやソフトウエアに新たな機能を組み込むこと」を指す。
私たちTCG(タナベコンサルティンググループ)は、東証1部上場のコンサルティングファームであるタナベ経営と、リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズの3社でグループ経営を行っている。プロフェッショナル約500名による全国展開モデル(北海道から沖縄まで10拠点にコンサルタントを配置)を経営する中で、さまざまなDX戦略に取り組んでいる。戦略コンセプトは「ONE(ワン)プラットフォーム戦略」。判断基準は次の10項目である。実装事例として参考にしていただきたい。
①DX戦略でビジネスモデルのバリューチェーンを形成
②ONEプラットフォームのシステムインフラは「クラウド」化
③DXへのアプローチとして「マーケティング」「ファイナンス」「クライアント」「ナレッジデータベース」「コミュニケーション」「ハードウエア」「Webサイト(アプリ)」の7つからアプローチ。重点部署を決めるよりも「つながる価値」を優先
④ソフトウエア&ハードウエア(モバイル機器、通信環境など)のバランス重視
⑤「コンサルティングテックⓇ」の開発によるコンサルティング価値の向上
⑥DX・デジタル戦略と組織体制のセットアップで変革をデザイン
⑦組織の生産性(業務効率、テレワークなど)の向上、投資回収成果を確認して推進
⑧社員のデジタルリテラシー向上と教育を推進しながら導入
⑨M&A戦略を前提として、グループ経営、連結経営のシステムを構築
⑩東証1部上場のプロフェッショナルファームとしての情報管理、コーポレートガバナンスおよび社内外システム監査に沿った経営システムの構築
DX経営はハイブリッド経営を経て、デジタル経営へ進化していく。それは、あたかも自動車の動力源がGV(ガソリン車)、HV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)へと、その姿を変えていくことに似ているのだ。
──DX人材の不足を乗り越える
日本にはDX人材が大幅に不足している。ソフトウエア開発会社のフレクトが全国の企業経営者・幹部300名を対象に行った「企業のDX推進に関する実態調査」(2021年4月)によると、DXを進める上での課題について尋ねたところ、「推進できる人材がいない」との回答が40.3%を占めた。また、「開発できる人材がいない」という回答も27.3%に上り、DX人材の不足が大きな障壁となっている。
DX人材は需給ギャップが大きいキャリア層であり、ようやく国内の大学でも実践学部が誕生しつつある段階だ。ただ、これは世界的な現象でもある。コロナ禍前に私が米国のニューヨークとシリコンバレーへ出張した際も、「データサイエンティスト」の争奪戦が行われていた。今、まったく同じことが日本でも起きている。そして、コロナ禍によってますます人材不足が進行しているのが現状である。
この分野の人材を自前主義で求めると、結果的にはDX戦略を先延ばしすることになる。そして「2025年の崖」から転落してしまうだろう。したがって、「社内プロジェクト+外部パートナー」というチーム編成により、DX実装をスピーディーに進める必要がある。
最後に、私たちTCGが提供している、DX戦略をビジョンへ実装するためのプロフェッショナルDXサービスのいくつかをご紹介したい。
1.ビジネスDXの実装戦略
(1)DtoC事業の立ち上げ
DtoCビジネスの目的に合わせ、事業戦略、商品政策(開発を含む)に即したECサイトを構築。「開発→販促→ECサイト構築→運用」のノウハウが社内に蓄積される体制をつくる。これらは、タナベ経営のドメインコンサルティング、マーケティングコンサルティング、そしてブランドプロモーションコンサルティングで対応可能だ。
2.マーケティングDXの実装戦略
(1)BtoB営業のデジタルシフト
自社のレベルを客観的に測定した上で、デジタルマーケティングの本丸となるマーケティング目的のWebサイトを立ち上げ、リアル&デジタルの双方から運用・定着を図る。これはタナベ経営のマーケティングコンサルティングと、グループ会社であるリーディング・ソリューションにおいて対応できる。
3.バックオフィスDXの実装戦略
(1)RPA実装
経営の視点からRPA実装対象の業務を絞り込み、導入効果が高い業務からRPAの設計・開発を推進し、本格導入につなげる。タナベ経営のファンクションコンサルティングと、「ロボワーキング」システムが効果的だ。
(2)ERP実装
バックオフィスの正確性、生産性、システム化はERPへの実装で決まる。ERPシステムと実際の業務との統合を図るために、BPR(Business Process Re-engineering)によって業務プロセスを分析し、再度、基幹系システムに乗せるように新しいシステムの要件定義を行い、実装へ導く。これらは、私たちTCGのコーポレートファイナンスコンサルティングと、グループ会社であるグローウィン・パートナーズのERPソリューションで対応可能だ。
4.HRDXの実装戦略
(1)アカデミーDX(人材育成システムのクラウド化)
自社に求められる人材を育成するためのコンテンツを棚卸しし、社内のプロフェッショナル人材を主役としたオリジナル教育コンテンツ(動画)を設計。いつでも、どこでも、誰でも学べる環境をデジタルで構築する。TCGのアカデミーコンサルティングでは、業種を問わず、すでに120校のDXアカデミーの開校実績がある。
(2)HRDX(人事システムのDX化)
あらかじめ人事システムのDX領域をゴールに定め、新人事制度のフレームワーク、評価制度の改編とタイミングを合わせながらシステム統合、テスト運用を実行する。タナベ経営のHRコンサルティングで対応可能である。
皆さんの会社や組織のビジョンに「DX戦略の実装」を具体策として組み込み、ビジョン策定に生かしていただければ幸いである。ウィズコロナ/アフターコロナを「経営者のDXリーダーシップ」で乗り切り、ファーストコールカンパニー(100年先も一番に選ばれる会社)へと変化・成長するために、今こそリスタートしていただきたい。