株式会社ローンディール
「レンタル移籍」を通してイノベーション人材を創出
ローンディールは、代表取締役の原田未来氏が前職時代、「会社を辞めずに外を見る機会をつくれば会社も個人もより良くなる」と考えたことをきっかけに2015年に設立。企業間レンタル移籍プラットフォーム「LoanDEAL(ローンディール)」を通して、社員の「レンタル移籍」を企業間で取り入れている。
レンタル移籍とは、サッカーなどのプロスポーツにおいて、選手が現在所属しているクラブとの契約を保持したまま期間を定めて他のクラブへ移籍する制度だ。同社の手掛けるLoanDEALは、半年から1年程度の間、大企業などの人材をスタートアップ企業へ派遣し、事業立ち上げの経験を積んで自社に戻す人材育成サービスである。
【図表】レンタル移籍の流れ
レンタル移籍は、出向契約または研修派遣契約によって実施する
社員を送り出す企業は、ベンチャー企業における事業開発プロセスの経験やマインドの醸成、受け入れるベンチャー企業は、組織貢献や自己成長に高い意識を持った人材の受け入れによる事業の成長や組織の活性化が実現できる。
大企業の社員とベンチャー企業のマッチング手法について、同社の最高執行責任者である後藤幸起氏は、「個別面談を通して、本人がどのような思いを抱いてベンチャー企業で働きたいのかをヒアリングし、移籍先を絞っていきます。社員を移籍させる企業側の狙いもありますが、本人の意思が何よりも重要です」と語る。
また、同社は移籍先をできるだけ現在の業務と関連性のない、異なる文化を持つ企業を推奨している。180度違う環境に身を置くことで、新たな気付きが得られるからだ。レンタル移籍中の仕事の特徴と得られる経験については、主に次の3点が挙げられる。
(1)後ろ盾がない
在籍中の企業の役職が一時的になくなることによる、自分自身の能力や自社に対する新しい気付き
(2)マルチタスク
ベンチャー企業特有の圧倒的なスピード感と組織全体を見る高い視座
(3)不確実性が高い
熱量を持って考え抜き困難を突破する意思
最終的なゴールは大企業の組織そのものを変容させること
移籍の際に重要となるのが、ベンチャー企業のビジョンや価値観への共感である。ベンチャー企業は人数が少ないことが多く、新しいメンバーが1名入るだけでも大きな影響がある。ビジョンや価値観に移籍者が共感できなければ、受け入れるベンチャー企業側の士気に悪影響を与えかねない。
同社では、レンタル移籍者同士が抱えている悩みや課題を発表し合うことで不安を払拭するサロンや、変革・創造に適したマネジメント手法を学ぶための、移籍者の上長である管理職を対象にした勉強会を通して継続的な支援を行っている。
「当社が目指している最終的なゴールは、レンタル移籍をきっかけに大企業の組織そのものが変容することです」と後藤氏は語る。LoanDEALを通して、大企業で数多くのイノベーションが生まれる日はそう遠くない。
PROFILE
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- 会社名:株式会社ローンディール
- URL:https://loandeal.jp/
- 所在地:東京都港区北青山3-6-23 青山ダイハンビル7F
- 設立:2015年
- 従業員数:10名(2020年3月現在)
※ 掲載内容は2020年3月当時のものです。