その他 2022.12.28

経済の仕組みを子供たちに体験させる

公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本
 

1919年に米国で発足し、世界120以上の国々で活動しているグローバルな経済教育団体のジュニア・アチーブメント(以降、JA)。その日本法人であるジュニア・アチーブメント日本が手掛けるユニークな教育プログラムとその効果とは。

 
 
子どもたちが社会の仕組みを知り、生きていく力を養う学習プログラム
 

米国発の経済教育プログラムを導入し、小学生から高校生までの仕事観や進路選択、将来設計に寄与してきたジュニア・アチーブメント日本(以降、JA Japan)。企業の支援を受け、青少年に無償でプログラムを提供する非営利活動を展開している。

 

「子どものころから社会の経済活動を体験することで、社会の仕組みや経済の流れなどを知り、仕事に興味を持ち、進路選択や将来設計を行うための能力を育むことを目的としています。大切なのは子どもが社会の仕組みを知り、生きていく力を養うことです」と、JA Japanで代表理事を務める佐川秀雄氏は語る。

 

JAのプログラムの特徴は、子どもの成長段階に応じて、実際の経済活動を分かりやすく経験させる点にある。また、一貫して「職場ではみんなが協力することで仕事が成り立っていること」を生徒たちに伝えている。

 

JAを代表するプログラムが、本物の街を再現し、物やサービスを「供給する側」と「受ける側」を交互に体験する小学生向けプログラム「スチューデント・シティ」である。生徒は事前学習を行った後にスチューデント・シティを訪れ、銀行や保険会社などの“社員”になって仕事をする。例えば、セキュリティー会社に勤務する生徒は、コンビニに対して防犯カメラ設置の営業活動を行うなど、普段の生活では体験できないBtoBのビジネスも体感できる。

 

JAの理念に賛同して協賛する企業は多く、スチューデント・シティでは各社の社員が子どもに業務を指導するといった支援も行う

 
 
子どもの成長段階に合わせた学習プログラム設計
 

生活に必要とされるお金について大人の立場で生活設計をする、中学2年生を対象にした「ファイナンス・パーク」もJAの代表的なプログラムである。学校での事前学習で習得した生活に関する知識を、ファイナンス・パークで実際に使いながら、お金と自分に関わる様々な選択と意思決定を行う。

 

高校生向けのプログラムには、よりリアルな経済活動を体験するものもある。そのベースとなるのが高校生を対象にした「ジョブシャドウ」だ。高校生が協力会社に出勤し、社員1名に対して生徒1名が、まさに「影」のように付いて仕事を観察するプログラムで、働くことについて考え、進路選択や将来設計、職業選択に生かすのが狙いだ。

 

また、高校生向けの「スチューデント・カンパニー・プログラム」では、実際に学校内に資本金2万円の会社を設立し、商品の開発・生産・販売を行う。プログラムを通じて、お金の大切さをリアルに知ることができる。

 

「日本の高校生は社会の仕組みを理解できていなかったり、発想力に乏しかったりする面があります。学力は高いのですが、ゼロから1を生み出す力が弱い。その弱い部分をプログラムで伸ばしていくことが私たちの役割だと考えています」(佐川氏)

 

「自らの意思で未来を切り拓くための力」や、「学校で学んでいることが社会でどう生きているのか」を、子どもたちに伝えるジュニア・アチーブメント。子どもの成長段階に合わせたプログラムを通じて、ワールドワイドな体験を提供していく。

 

 

PROFILE

    • 会社名:公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本
    • URL:https://ja-japan.org/
    • 所在地:東京都品川区北品川3-9-30
    • 設立:1995年

※ 掲載内容は2020年3月当時のものです。