その他 2022.08.29

オンボーディングで定着率向上と早期戦力化を実現する企業事例

日本オラクル株式会社

 

 

 

新入社員の離職を防ぎ、早期に戦力化するための施策、オンボーディング。情報システム構築事業を展開する日本オラクルは、個人の自律性が高い組織カルチャーに適したオンボーディングを実施し、従業員エンゲージメントを向上させることで、人材の定着率向上や早期戦力化を実現している。

 

 

1.自部門に最適なオンボーディングを各部門が実施

 

通常、社員教育や人材開発は人事・総務部門が統括する。だが日本オラクルでは、新入社員が配属される部門のメンバーが、権限と責任を持ってそれぞれオンボーディングを実施する。

 

「各部門の独立性・自律性の高さが当社の特徴です。入社後は新卒採用であれば約2週間、中途採用の場合は1~2日程度の全社研修を実施していますが、それ以降は各部門が独自のオンボーディングを行います」(人事本部長・一藤隆弘氏)

 

人事・総務部門は、各部門がオンボーディングをスムーズに実施するためのサポートを行う役割を担っている。

 

【図表1】日本オラクルのオンボーディングプログラム

出所:日本オラクル提供資料よりタナベ経営作成

 

 

2.人材情報をシステムで統合管理

 

具体例として、同社コンサルティングサービス事業統括部門のオンボーディング(【図表2】)を挙げる。取り組みの中で特徴的なのは「相談体制の充実」である。上司、ナビゲーター、Employee Success(エンプロイーサクセス:同部門独自のHRチーム)、ビジネスHR(全社のHRチーム)、産業医の5つから、入社メンバーが相談相手を選べる仕組みだ。

 

上司にはしづらい相談も、窓口が複数あればどこかに相談できる。社員の定着率向上や早期戦力化・活躍を導く重要なポイントだ。

 

【図表2】コンサルティングサービス事業統括部門のオンボーディング施策

出所:日本オラクル提供資料よりタナベ経営作成

 

 

3.人材リソースをシステムで統合管理

 

各部門独自の施策を可能にしているシステムが、同社のクラウド型人事ソリューション「Oracle Fusion Cloud HCM」である。従業員を重要な経営資源の1つと捉え、組織内の人事・給与・評価・就業状況などの人材情報を統合的に管理するシステムである。人事リソースのデータベースであるだけでなく、目標管理などにも活用されている。

 

事業拡大によって大幅な人員拡充を図った結果、同社には社歴の浅い社員の比率が高い部門も存在する。そうした中、組織の方向性をそろえるために徹底したのが「ビジョン」「戦略」「ゴール」の共有だ。

 

マネジャーは試用期間中に社員一人一人と面談してビジョンや戦略について説明し、ゴールを決める。さらに、ゴールをOracle Fusion Cloud HCMに入力し、達成状況に対するフィードバックもシステム上で共有するなどして目標管理を行っていく。システム上でいつでも目標を確認できるため、メンバーはゴールを見失うことなく仕事に取り組めるようになったという。

 

また、システム化は、事務作業やコストを大幅に削減できるため、人事戦略の企画など重要度の高い業務にリソースを割けるメリットもある。

 

自社のカルチャーや強みを生かしたオンボーディングを設計し、「大量採用・早期離職」という課題を解決した同社は、現在も見直しを図りながら施策を進化させている。

 

 

PROFILE

    • 会社名:日本オラクル(株)
    • URL:https://www.oracle.com/jp/jp-corporate.html
    • 所在地:東京都港区北青山2-5-8
    • 創業:1985年
    • 代表者:執行役 社長 三澤 智光
    • 売上高:2085億2300万円(2021年5月期)
    • 従業員数:2407名(2021年5月現在)

※ 掲載内容は2021年10月当時のものです。