その他 2017.09.29

vol.25 部下とのコミュニケーションに効く質問法

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2017年10月号

カウンセリングの先生に学ぶ質問技法

この時、私の脳裏にプワ~っと浮かび上がったのが、10年以上も前、大学院の講義で恩師・國分康孝先生から直接学んだ「質問技法」でした。カウンセリング界の重鎮、國分先生は、本連載でも以前ご紹介したように、会社や組織で役に立つカウンセリング技法研究でも第一人者です。

先生から受けた貴重な講義の一場面がにわかによみがえってきました。そしてこれこそが、目の前の友人を救うに違いないと確信めいたものを感じました。「部下に対する話し方」で悩む、「全国の上司」にも大きな助けになるものと、國分先生の教えを、思い出すまま書き殴ってみましょう。

(注:講義シーンは、あくまでも思い出しながら書いた、おおよその雰囲気です)

國分 「君たちが上司となって部下に接するとき『質問技法』が役に立つ。その目的は3つある」

先生の話しぶりは、こんなふうにセンテンスが短く分かりやすいものでした。

國分 「目的の1つ目は、部下との親しみの関係性を築くため。例えば、外出先から帰ってきた部下に、『雨に降られなかったか?』『この時間、電車混んでた?』とこんな、たわいもないものがよい。部下が考えずそのまま声を出して答えられるものがベスト。声を交わし合うだけで、親しみの関係が生まれてくる」

関係性構築の第一歩は、相手に負荷をかけずに声で触れ合うことだとおっしゃるのです。

さほど意味のない質問で始まる会話にこそ意味がある。「えー? そんなこと?」とお思いになるかもしれませんが、同じ空間で言葉を交わし合う、たったそれだけで双方の距離がぐんと縮まることは、やってみると納得してしまいます。