vol.24 話を終わらせてしまう、こんなひと言
2017年9月号
上司 「今年初めて秋刀魚食っちゃったよ!」
さりげなく、部下とのコミュニケーションを取ろうとするおじさんは、どうでもいい話題を軽く振ってくるものです。変に仕事のことを話題にすれば部下が緊張したり、構えたりする。どうでもいい雑談で職場の空気を和らげたいと、上司なりに気を使っているのです。
「季節ネタ」「食べ物ネタ」ほど無難なものはありません。それを糸口に「和んだ会話」のやりとりを2〜3往復させてから、本題の仕事に入っていく。これだって、「大人のコミュニケーション」の代表選手といえますね。
「何はともあれ、結論から述べよ」と、ビジネス書は説いているかもしれませんが、風通しの良い職場では「適度な無駄話」が仕事を円滑に進める潤滑油の役割を果たすと、入社4〜5年も過ぎれば皆、経験から理解します。
適切な言葉のやりとり、つまり「投げられた話題にしっかり反応する技」は、思った以上に重要なのです。「そうなんですか? いいっすねえ! 駅前の居酒屋から煙がモクモク上がって良い匂いがしてましたが、あれ、秋刀魚の塩焼きだったんだあ。今年のは旨いんすかね、課長?(^o^)」
こんなふうに上手に会話をつなげられる部下なら、上司からの受けも上々です。
上司 「コイツなら、お客さまのところでも、臨機応変にコミュニケーションが図れそうだ。今度の接待に連れて行こうか?」
なーんて思ってもらう可能性が出てきます。
会話に距離をとってしまう「ね」
これとは逆に、会話を「盛り下げてしまう、ダメな受け」がこれです。
「そうなんですね〜」
こんな返しを受けたことのある人も多いのではないでしょうか。
「そんな気のない間抜けな、ボンヤリした、無感動な相づちを打つ若者など、今どきいませんよ! 少なくともうちの職場では」
そうおっしゃるあなた。本当でしょうか? 私の周囲には「とびっきりのネタ」を振ったのに「そうなんですね」と気のない返事をされてガックリきた、というおじさんおばさんがぞろぞろいます。
「そうなんですか?」と語尾が「か?」の相づちには、新鮮な情報に接した「驚き」「喜び」と、その先の会話への「興味・関心」が表明されています。そういう反応があるからこそ、会話が促進され、より豊かなコミュニケーション空間が出現するのです。
他方、「か?」ではなく「そうなんですね」の「ね」には、「既知の情報で新味に欠ける」「もっと面白いこと言ってください」「そもそも私に関わらないでほしい」という「話題場面を回避したい思惑」が露骨に見えてきます。
どんな話をしても「そうなんです“ね”」と機械的に返答する若者に対し、心ある大人たちは当惑するばかりです。