vol.22 「なぜか信用される人」はどこが違う?
2017年7月号
部下はこんなときにも上司の行動を見ている
「4月から、わずか5人ですが部下を抱える立場になっちゃって。どうしたらいいですかねえ」
初めて部下を持つことになった、私の若い友人が口にした不安も当然です。一般的に「上司たる者、部下を適切に評価できてナンボ」といわれますが、実際には「部下の上司評価」はそれ以上にシビアで、部下たちは上司の立ち居振る舞いから「この人に付いて行っていいものかどうか?」を冷静に判断。仲間内で情報交換したりします。
部下たちが共有するその情報が、上司の将来にも影響するというのですから、「どうしたらいいか?」と心配する上司がいても、不思議ではありません。
「上司としての適切な立ち居振る舞い」が求められるのは、何も仕事中だけとは限りません。むしろ仕事を離れた「和みの場」でこそ、「上司の本来の立ち居振る舞い力」が問われると言っても過言ではありません。
「よし、みんな頑張ってくれたから、今日はオレのおごりでパーッと一杯行っちゃうぞ!」
なんて光景は、最近あまり見かけないようではありますが、もしあったとして、そういうときの上司は「気を遣わない振り」をしつつ、「気配りの利いた上司としての正しい立ち居振る舞い」を怠ってはなりません。
部下をねぎらう立場にありながら、部下を差し置き、すっかり良い気持ちで酔っ払い、居眠りを始めた……なんて醜態は、「こんな上司で大丈夫だろうか?」と部下たちの疑心暗鬼を呼び、悪いうわさが社内を駆け巡るという恐れがあります。
立ち居振る舞いに、手抜きは許されないのです。上司の立ち居振る舞いは、宴席の最後の最後まで「見られている」と心しましょう。「A君お疲れさん!」「B君、明日も頑張ろうな!」「Cさん、ご苦労さん!」。声掛けをして店から送り出すまで気を許してはなりません。
例えば、最後の会計の場面。部下たちがいる前で、店の人から「領収書の宛名、何とお書きしましょうか?」などと言われ、慌てて「前(株)で……日付なしでお願いします」などとささやくところを見られてしまう。こんな大失態を犯してはならないのです。
「なーんだ、おごるとか言って、会社のカネなんだ……」
口には出さないまでも、部下たちの「上司の立ち居振る舞いを見るまなざし」には厳しいものがあると、覚悟した方がよさそうです。
宴席後の会計は、トイレのついでにさりげなく済ませておくとか、あらかじめ店に話を通しておく、ぐらいの立ち居振る舞いが「好ましい上司」の条件かもしれません。
なーんて、無駄話が過ぎましたが、ここからは、私がまだ放送局の社員だった20年以上も前、実際に体験した上司の立ち居振る舞いをご紹介しておきましょう。