その他 2017.03.31

vol.19 AIカウンセラーから学ぶ、 聞くスキル

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2017年4月号

上手に話せなかった原因とは

この発展途上のAI カウンセリングから、「人の話を聞く」というコミュニケーションの基本中の基本スキルを学ぶことができそうです。

心理学者の相川充先生は『人づきあいの技術』(サイエンス社)という本にこう書いています。「私たちがコミュニケーションに費やす全時間の45%が聞くことに費やされ、話すこと30%、読むこと16%、書くこと9% だと言うのに、学校教育では、話し、読み、書くことに比べ聞くことは殆ど取り上げられない(教えてもらえない)。それは聞くことが容易だと思われているからでしょう」

先生の言うように、「読み書き」は学校で嫌というほど教えられました。社会人になってからは「プレゼン力が大事だ」「会議での発言力も重要だ」と先輩から、また社内外のセミナーで「話し方」を学ぶ機会も増えていきます。「話し方教室」は大きな街ならいくらも見つかりますが「聞き方教室」の看板は見たことがありません。

しかし、「しゃべり」を職業とする私が身に染みて大事なスキルだと感じているのは、しゃべりそのものよりも「聞く力」です。

インタビュー番組で「しゃべりで失敗した」「話が全然盛り上がらなかった」と敗北感にさいなまれた時を思い返すと、そのしくじりの原因はしゃべることではなく、「聞くこと」にありました。