vol.7 若者世代にどう接していますか?
梶原しげる
2016年4月号
40代半ばで大学院へ進学
仕事とはまるで異なる分野での若者交流の場としてもう1つお勧めなのが「学校」です。
これは私の拙い体験。40代半ばの大学院受験です。きっかけは当時、司会をしていたラジオ番組のコメンテーターを務める経済評論家の一言でした。
「梶原くんは、アナウンサーとしてはそこそこ優秀かもしれないが、それじゃあ単なるしゃべりの器用な人にすぎない。確たる専門性を持てば、僕みたいに説得力を持つ存在になれるかもしれないのになあ、なーんちゃって」
元銀行員のその方は冗談めかしながら「言いにくい本音」をズバリ助言してくれたのです。一瞬ムカつきましたが、すぐに「その通りだ」と思いました。
自分の専門性、すなわち「お前は何者だ?」との根源的な問いが、私に迫ってきました。
そして、まるで思春期のように「俺って何?」と悩まされていたある日、「悩むのは頭の使い方が悪いからだ!」と書かれた書籍に出合いました。
「悩むのは性格が弱いからではなく、頭の使い方!」
この言葉に救われました。
「頭の使い方さえ学べば、ダメな自分を変えられるかもしれない!」
著者は日本カウンセリング界の重鎮、國分康孝教授でした。私は先生が教鞭をとる大学院の受験を決意。1年間予備校に通い、入学を果たしたのが人生の転機となりました。
教室で机を並べるのは私の子どもと同じくらいの年齢の若者です。國分先生から直接論文指導を受けるには、成績上位であることが必須条件ですから、ライバルでもありました。
彼ら・彼女らは、私が社会人であるかどうかなどに関心はありません。ゼミでは対面カウンセリングや集団プレゼンの実演を行い、院生同士が激しく批評し合います。
職業柄、しゃべりに変な自信があった私でしたが、「押し付けがましい」「威圧的」「傾聴ができていない」などと、若い仲間から容赦なく指摘されたことが大きな財産になりました。
「今時の若者は……」。そんな軽率な思い込みは軽く吹き飛びました。おかげで、理論や技法以上に大きなものを学ぶことができた気がします。