前回(2021年2月号)の組織イノベーションの提言は狭義の提言であった。今回は未来を創造するための広義の提言をしたい。
1つ目の提言は、ビジネスモデルから組織を診るということ。私がコンサルティングの経験から学んだのは、高収益・高成長を実現するには、「ビジネスモデルをシンプルにする」必要があることだ。顧客価値、提供価値、提供方法、収益モデルをシンプルにして、バリューチェーンを組み上げるのである。あれもこれも販売するような複雑なバリューチェーンには、それだけの総合力が求められ、収益性と成長性の向上は緩やかなものになる。
しかし、この組織の弱点はバランスであり、マーケットの変化に対するリスクが高い。そこで、複数のビジネスモデルを有することでリスクヘッジをするわけだが、1つの組織に収めてしまうと成長性も収益性も失われる。
したがって2つ目の提言は、「グループ経営」にすることである。シンプルなビジネスモデルの集合体にしていくことで、総合性とバランスをもたらす組織思考だ。併せて、グループ企画機能を充実させ、投資収益率を軸にシナジーの発揮や事業への投資を行い、グループの収益性と成長性を極大化する。
また、グループの事業会社に社長と取締役を据えることにより、社員のモチベーションを上げ、不足している経営人材を育てる。さらには、マーケティングやIT、財務などのシェアリングサービスをグループで保有し、組織の総合性を養っていく。これについては、タナベ経営のコンサルティングサービスである「グループ経営システム」「グループ経営者育成プログラム」を参考にしていただきたい。
3つ目の提言は、やや刺激的な表現だが、「女性が社長かつ女性の取締役が半数以上の事業会社をつくる」ことだ。主要顧客が女性の事業、また女性社員が多い会社は意思決定のスピードが速く、出てくるアイデアも現実的である。
何を言いたいのか。「マーケットや社員の構成に合わせた意思決定構造」の組み上げが重要であるということだ。その上で、暴走を防ぐためにグループ経営システムを整えていくことも提言する。さぁ、組織を根本からイノベーションしよう。